フィリピンでは、占いで泥棒の犯人認定する「Bambanti (scarecrow)」

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本作のあらすじには「使用人の息子が雇い主の紛失した金時計を盗んだと疑われたとき、金持ちが貧乏人に対して抱く偏見に疑問を呈した」とあります。確かにそんな話ではありますが、犯人として疑う根拠が占いであり、より詳細な占いをして、子供が犯人ではないと言われると、それを根拠に、疑われた家族が大激怒するシーンに、私は驚きました。2015年の作品ではありますが、フィリピンの田舎は、まだまだ占いに頼る社会なのでしょうか? この手の貧乏人が冤罪をかけられるという話は、フィリピンでは悲惨なラストに繋がることが多いのですが、そんなことにはならず、安心して見ることができる作品です。英語タイトルは「scarecrow(かかし)」ですが、オリジナルタイトルの「Bambanti」はイロカノ語で「かかし」という意味で、イロカノ地方のイサベラで行われる大規模なお祭り「Bambanti Festival」を指しているものと思われます。

(Photo cited from IMDb)

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「Bambanti (scarecrow)」のストーリー

美しい田園風景から始まります。フィリピンの田園は、日本に似ていますね。かかしの様子も、ほぼ同じです。小学生の兄弟、兄(ポポイ)と妹が下校時しています。ポポイは、途中でギャンブルでヒヨコをゲットしました。妹は、帰りのトライシクルの運賃を使ったポポイに不平を言いますが、ポポイは「勝ったからいいじゃないか」と応えます。フィリピン男は、こうして作られていくのですね。

彼らの家は、いわゆる高床式の質素なもので、彼らが貧乏であることがわかります。父親は、1年前に亡くなったらしく、詳しくは語られませんが、何らかの支払いがされていないことが、家族を困窮に追い込んでいるようです。母は、ポポイに成績のことを聞きますが、ポポイは「大切なのは成績じゃなくて、信仰だよ」と適当なことを言います。

母親は、夫の兄夫婦の家で洗濯の仕事をしています。兄夫婦は、そこそこ立派な家に住んでいます。兄嫁は、基本的に良い人で、母親に食べ物やお金を渡します。その日、兄嫁の家の娘が帰ってきており、洗濯もののポケットの中に金の腕時計が入っていました。母親が兄嫁に、その時計をわたしましたが、のちに、その時計が無くなってしまいました。

当初、兄嫁は、ポポイを呼び出し、お菓子を与えながら、やんわりと時計のことを尋ねますが、ポポイは知らないと答えます。「あなたが持っていてもしょうがないのよ。子供は時計を売れないし、持ってきてくれたらお金をあげる」と、やんわりではありましたが、犯人扱いしたことで、ポポイは大いに気を悪くします。その後、兄嫁家族は占い師に、犯人の特徴を聞きます。占い師は、水に何かを浮かべて、犯人は男だと言いました。兄嫁の家族に男は、義兄だけなので、犯人は家に出入りしている唯一の男であるポポイだろうと結論づけます。このシーンには、本当にびっくりしました。

その後、娘がポポイを露骨に犯人扱いするので、ついにポポイの母親の耳にも入り、母親も心配になり、夜中にポポイの荷物を調べまているところ、ポポイに見つかり気まずいことになってしまいました。

その後、この件はバランガイのリーダーに相談されることとなりました。もちろん何か判断できるはずもなく、お互いの言い分を聞くだけですが、途中怒ったポポイの祖母が、「そんなら弁償すればいいんでしょ、いくらなの?」と叫びましたが、「1万ペソ」と聞いて黙ってしまいました。

その後、ポポイが学校で泥棒扱いされるようになり、怒ったポポイは同級生と喧嘩してしまいます。そして、学校に行かなくなってしまいました。どうやら、兄嫁の娘が、ポポイが泥棒だと吹聴していることを知った母親は激怒。兄嫁の家にいって、石を投げて窓ガラスを割ります。驚いた兄嫁家族が、「家を壊さないでちょうだい」と言うと、母親が「家が壊されるくらいなんだ、こっちは家族を壊されたんだ」と叫びます。娘は「占い師が言ったんだ。もし、あなたの息子が犯人だと証明されたらどうするんだ」と言われると、「その時は、あなたたちの前で、息子を殺してやる」と叫びます。こういうやりとりは、日本人には理解不能ですね・・・。フィリピン映画では良くあるやりとりです。なぜ、占い師が言ったからと言って、それが根拠になるのか? 息子を目の前で殺すって・・・。

ここからの行動が日本人にはさらにわからないのですが、一同は再び別の占い師を訪ねます。占い師によれば、「ポポイではない。もっと年の言った男だ」と言われます。すると、母親は天下を取ったかのように大逆襲です。もう、自分には理解できません。

その後、学校で父兄が呼ばれ、子供たちの手紙を読むシーンがあり、ポポイの亡くなった父親へ想い、無実の罪を着せられていることへの想いを知り、母親は泣き崩れます。

(ネタバレ)その後は、Bambanti Festivalのシーンです。ポポイが、その中で踊っているのを母親はスタジアムから鑑賞します。このお祭りのシーンは壮観です。私は、フィリピンで大きいお祭りの代表である、セブのシヌログ祭を見に行ったことがあるのですが、まだコロナの余波で小規模開催でした。フィリピンの大きなお祭りを見てみたいですね。

そんなころ、兄嫁家族が真犯人にたどり着きました。それは、娘のボーイフレンドでした。しかも、娘は、自分のボーイフレンドであることを知っていたのに、お別れになるのが嫌で黙っており、罪をポポイになすりつけていたのです。お父さんは大激怒で、娘の頬を平手打ちします。さて、一家は居心地の悪い顔をしながら、お祭りを鑑賞しているポポイの母親の近くに座って、彼女の顔色をうかがいます。ポポイの踊りのシーンに再度フォーカスされ、エンディングです。

何と、謝罪シーンなしでした! どんな顔をして平謝りするのか見たかったですが、兄嫁家族はそんなに悪い人たちじゃないので、ちゃんと謝るでしょう。本作の見どころはなんと言っても、占いを信じて、それを根拠に自らの主張を展開するメンタリティでしょう。また、「自分の息子を殺す」発言もフィリピンらしいですね。田舎のフィリピン人の考え方、社会の仕組みがよくわかりますし、お祭りのシーンが素晴らしいので、おすすめの作品です。

「Bambanti (scarecrow)」の監督、出演者情報

本作品の監督をつとめたZig Madamba Dulayさんは、どちらかと言えばテレビドラマ監督としての作品の多い監督さんです。代表作は、まだ見ていませんが「Green Bones」でしょう。これは、今年のフィリピンのアカデミー賞候補に残っている作品です。この監督さんの作品は、もうちょっと見ていきたいですね。主演は、癖の強い女優という印象のAlessandra De Rossiさんです。どちらかと言えば、都会で気ままに暮らしている現代的な女を演じることが多い彼女ですが、田舎の母親役もやるんですね。しかし、素朴な母親ではなく、キレるところは盛大にキレて、彼女らしさを発揮しました。

「Bambanti (scarecrow)」の作品情報

オリジナルタイトル:Bambanti

公開年 2015年

監督 Zig Madamba Dulay

主なキャスト Alessandra De Rossi(What If?)(キタキタ)(僕のアマンダ)(The Amazing Journey of the Letters

Shamaine Buencamino

Micko Laurente

視聴可能メディア Youtube(英語字幕のみ)

「Bambanti (scarecrow)」のトレイラー

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