現在、遊びでベトナムに来ています。東南アジアは1つのNetflix圏ですので、日本よりもたくさんフィリピン映画があり、ストイックにもバス移動の最中に、日本では見られないフィリピン映画を見ています。今回選んだのが本作品です。日本では、お葬式をテーマにコメディ映画を撮るとは思いつきもしないことですが、本作はお葬式にまつわる数々のタブーを守らなかった男が、大変なことになるという事態をコメディとして描いています。このアイデアまでは、まだ良かったのですが、(フィリピン映画では良くあることですが)脚本が破綻してしまい、特に後半は何が何やらわからないチープな展開になってしまいました。さて、タイトルの「Pagpag」は、スラム街で売られている、残り物を再調理した食べ物の名前でもありますが、本作では「お葬式の帰りに途中で寄り道すること」なのだそうです。それは、お葬式で付いた悪い霊を家に持ち帰らないためなのだそうです。

(Photo cited from IMDb)
「Pagpag 24/7」のストーリー
最後まで見ると意味のない設定だということがわかりましたが、1975年から始まります。筋肉が自慢で頭の弱い男(ミトイ)と小さいけど小賢しい男(ボイン)の2人が、個人商店に盗みに入ります。バカバカしいやりとりをしながら、大したことないものを盗んでいたところ、監視カメラがあり、オーナーが斧をもって店に戻ってきました。格闘の末、オーナーはケガを負い、ミトイは逃げ遅れて捕まってしまいました。コメディ部分は特に説明しませんが、最初から最後までずっとコメディです。
そして一気に12年後にジャンプします。ボインが仕事を探しており、結局、葬儀屋で働くことになりました。特にレクチャーなく、死体に化粧する仕事を任されたところ、なぜか死体の隣に寝ていたミトイと再会しました。ミトイは、12年間服役しており、ようやく出所したのです。ボインは再会を喜びますが、ミトイは自分だけ服役したことで、微妙な態度です。とは言え、すぐに打ち解け、いろいろありましたが、ミトイも葬儀屋で働くこととなりました。
ミトイは、葬儀屋で信じられている迷信を全く信じないタイプの男です。パグパグ(寄り道)はしませんし、葬儀屋で赤い服を着ないというルールも守りません。赤い服は、霊を引き付けると考えられているそうです。また、お供えものの食べ物をもって帰ります。それも縁起が悪いと考えられているそうです。まあ、それは理解できますね。
少し前後しますが、ミトイは出所したのち、美人(リア)に出会い、ひとめぼれするシーンがあります。そのリアに、葬儀場で再会します。とは言え、大したことは起こらず、葬儀に参加していたリアらは、怪しげなジプニーに乗り、途中パグパグするために、コンビニに寄りました。ジプニーの運転手は、お金も取らずに去っていきました。このコンビニは、店員の様子が明らかにおかしく、ここからホラーパートの始まりです。3人が、奇妙な経験をしたのち、ミトイもコンビニを訪れます。
(このあたりからストーリーが破綻してきます)すると、いきなり強盗が押し入ってきます。なぜか、強盗は店員を無視して、お客さんだけを床に伏せさせます。そこにボインまで登場します。なんだかんだありましたが、強盗は逃げ出し、事なきをえました。
そのころ、葬儀屋のオーナーが「ずっといた2人の子供の霊がいなくなったね」などと話しています。パグパグしなかった人について行ったのだろうとのことでした。そして、ミトイの家で、母の前に一瞬だけ、2人の子供が映りましたが、その後、この話は立ち消えになります。
(ネタバレ)強盗が去ったのち、コンビニ店員たちは、ようやく本性をあらわし、主人公らを怖がらせます。とは言え、コンビニから出られないようにしているだけで、特に怖がらせる以上のことはしてきません。すると、ジプニーのドライバーが悪霊の親玉のようなものらしく、コンビニにやってきて、いよいよミトイに襲い掛かります。特に、彼らは単にこの世に未練のある霊でしかなく、特に誰でも良いので、地獄に連れていきたいそうです。いよいよ地獄の門が開き、ミトイが連れ去られそうになったとき、ボインがミトイを助けました。
ミトイが目を覚ますと、母親が真実を語ります。ボインは、すでに銀行強盗に殺されており、霊がミトイを助けるためにコンビニに戻ったとのことです。さらには、リアも既に死んでいたというのです。リアが参加していたと思っていた葬儀はリア自身のものだったというのです。最後のシーンは、ジプニードライバーが、葬儀場から新たな人を乗せ、コンビニの前でおろし、高笑いして終わります。
最初の12年前のシーンは、特に役立っていません。それに1987年に、フィリピンの小さな商店で監視カメラ?など時代設定をしたわりには、作中では、その設定をずっと忘れっぱなしです。コンビニも、現代のコンビニですし・・・。さらに良くないのは、パグパグをしなかったミトイが、霊におそわれるならばともかく、最初におそわれるのは、リアと友達の2人です。しかも、リアはもう死んでいたって、なんのこっちゃです。また、葬儀場からいなくなった2人の子供の霊も、一瞬映るだけで、その後登場しません。コンビニの霊たちも、特に登場人物と関連のない人たちでした。死んだのに助けに来たと種明かしされるボインは、霊にコンビニの冷蔵庫に閉じ込められたりしていたのに、最後に霊だったと明かされても何の説得力もありません。それに、ヒロインは、いつ、どうして死んだのでしょうか?
小学生が書いたのかというほど酷い脚本なのに、そのまま映画化して、Netflixに収録までされているということが不思議でならない作品でした。
「Pagpag 24/7」の監督、出演者情報
本作の監督をつとめたJR Reyesさんは、本作が映画監督2作目。これまで4本の作品を撮っているようです。この作品を見てしまうと、他のを見ようという気持ちは全く起こりません。ミトイを演じたJerald Napolesさんは、時々、織田裕二やジミーちゃんに見えないこともない役者さんで、ムキムキの身体と馬鹿っぽい演技は売りの役者さんです。いつも同じようなキャラで出演しています。ボインを演じたNicco Manaloさんも、その小さい身体を生かして、多くの作品でわき役として出演しています。
「Pagpag 24/7」の作品情報
オリジナルタイトル:Pagpag 24/7
公開年 2025年
監督 JR Reyes
主なキャスト Jerald Napoles(Sampung utos kay Josh)
Nicco Manalo
Danita Paner
視聴可能メディア Netflix(東南アジア)(英語字幕)

