モーション・キャプチャー・アニメーション「The Missing」 | 動画配信サービスでフィリピン映画を見よう！

本作は、実際の人間をモーションキャプチャーして、人間の表面にアニメを貼り付け、アニメ背景に乗せて作った映画です。何やら手の込んだ手法に聞こえますが、おそらく日本のアニメ専門学校の卒業制作で作れるレベルの作品だと思います。ただ、アニメ制作が盛んでないフィリピンでは、こんな作品でも一流の俳優の参加が得られています。ストーリーも、少年時代に宇宙人に誘拐されたことのある青年が、再び宇宙人に着け狙われるという、これまた卒業制作レベルの内容になっています。アニメ大国に住む日本人には見る必要がない作品でしょう。オリジナルタイトルの「Iti mapukpukaw」は、「ワクワクする」くらいの意味です。

(Photo cited from Gagdetmatch)

「The Missing」のストーリー

主人公のエリックは、アニメ制作会社につとめているアニメーターです。なぜか、彼は口がありません。そのせいなのか、喋ることができず、常にホワイトボードとマジックを持っており、それで意思表示をします。ある日、母に頼まれて叔父を訪ねたところ、すでに亡くなっていました。

時々、子供時代のシーンが回想されるのですが、その時はモーションキャプチャーではなく、子供の手描き風のアニメになります。回想シーンでは、エリックは口があり喋ることができます。しかし、父親は顔が消えています。その理由は最後まで説明されません。

それからエイリアンに着け狙われることになります。ストーリーの進行と共に徐々に明らかになることですが、エイリアンは、エリックが子供のころに一度エイリアンにさらわれたことがあります。エイリアンの説明によれば、彼の母星は滅亡の危機に瀕しています。エリックには、母星を救うことができるので来て欲しいと言われ、母星に連れていかれたのです。確かに、星は荒廃しており、これをどうやって復活させるのかと思いきや、エイリアンはエリックの身体を乗っ取り、地球に住むことを狙っていたのです。どうやって逃れたのかわかりませんが、エリックは危ういところで逃れました。

また、叔父の葬式で棺を閉めた拍子に、今度は左目を落としてしまいなくしてしまいました。口がないこと、左目がなくなったことについて、誰かが突っ込みを入れることはありません。叔父の葬式の帰りに、エリック以外に口がない女性が初めてあらわれました。少し文字でやり取りしましたが、お互いの口の話題にはなりませんでした。また、ある日、知り合いの女の子が、自分の目の前でエイリアンにさらわれてしまいました。その際に、女の子に伸ばした右手を失ってしまいました。

いよいよエイリアンの危険が迫ったとき、同僚で友達でもあるカルロがエリックをかくまってくれました。しかし、ついにエイリアンは、彼らの前にあらわれました。なぜか、カルロは車の中にレーザーガンを持っており、２人はレーザーガンで応酬。またUFOに乗り込み、エイリアンを叩きのめして倒しました。エイリアン弱すぎです。

２人はエリックに部屋に戻ってきたところ、エリックの母が刃物を持って参戦してきました。しかし、すでにエイリアンを叩きのめしています。３人は、かつてエリックが幼いころにエイリアンから隠れていたようにベットの下に潜り込みます。３人はベッドの下で、懐かしい歌を歌います。

なぜか、叔父さんの棺を掘り起こすシーンになります。棺を掘り起こし、それを開けたところ、叔父の身体のそばに、エリックの失った口と左目と右手が入っていました。それを再び身体につけたところで、エリックは初めて喋ります。「僕は話さなければならないことがある」。ここで終わりです。

ここまで読んでもらえばわかるように、卒業制作レベルの作品です。なぜこれをNetflixに収録したのか不思議でなりませんでした。なるべく多彩なジャンルを取りそろえるため、数少ないアニメ作品だから収録されたのかなと思います。

「The Missing」の監督、出演者情報

本作の監督をつとめたCarl Joseph Papaさんは、すでに４本の長編アニメ映画を製作しているようです。そして、本作が最新作です。これがデビュー作ならば、今後も期待して追っていこうと思いますが、４本目だというならば期待できないですね。役者は豪華です。エリックを演じたのは、国民的スターのCarlo Aquinoさんです。そして、お母さんはアニメのスキンを被せられていてもすぐに誰かわかるDolly De Leonさん。この人のフィリピン人おばちゃん感はいつも素晴らしいです。