ホラー映画専門エキストラ女優にスポットを当てる「リリア・カンタペイ、神出鬼没」

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これは面白い映画でした! 2019年の東京国際映画祭で、その時点でも8年前の作品なのに招待されたという期待作品でした。本作では、モキュメンタリーという手法で撮影されています。モキュメンタリーとは、ドキュメンタリー風に撮影されていますが、実際にはフィクションであるという手法です。本作では、ホラー映画専門のエキストラとして、魔女や幽霊などを演じ続けきたリリア・カンタペイというおばあさんが、フィリピン版アカデミー賞の助演女優賞に選出されるという架空の設定をもとに、彼女に関わったことのある映画関係者のインタビューや、エキストラ仲間、本人の様子を描いたものです。このおばあさんが、本当に良い味を出していて、嬉しそうにスタートの共演について語り、自分のコレクションを披露してくれるところが良かったです。原題の「Six Degrees of Separation from Lilia Cuntapay」のSix Degrees of Separationは、知り合いに知り合いを6人たどれば、その人にたどり着くという意味です。一昔前に、そんな説が流行りましたね。誰もが遠からずリリア・カンタペイにつながっているという意味でしょう。

(Photo cited from Critic after dark)

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「リリア・カンタペイ、神出鬼没」のストーリー

リリア・カンタペイさんは、本作公開時すでに御年76歳。デビューは50歳ごろのようで、ホラー映画専門のエキストラ俳優です。とにかく、インパクト満点の容姿のため、魔女や怪物、幽霊の役を演じて、多くの作品に出演していますが、誰も彼女の名前を知りません。そんなときに、彼女がフィリピン版アカデミー賞で助演女優賞としてノミネートされたという設定になっています。カメラが、彼女の女優としてのインタビューをしたり、有名な映画監督、とくにPeque Gallagaさんは、ホントかどうかわかりませんが、リリア・カンタペイさんに関する思い出話をたくさん披露してくれます。彼も、ちょっと普通の感じではない、いかにもホラー映画の監督さんという容貌です。

面白いのは、彼女の語りぶりです。普通のおばあちゃんでしかなく、もう歯もほとんど残っていないようです。フガフガと喋ります。また、自分が共演した数々のスターたちとの思い出をかたり、スターと一緒に写した写真を嬉しそうに見せてくれます。インタビューで、自分の出演した作品を見ていますか?の質問に「No」と答えたのには笑いました。理由は、「映画がどうはじまり、どう終わるか既に知っているから」だそうです。それに「映画館で見ると50ペソもかかるから」と言っていました。スタッフに、「今は160ペソですよ」と訂正されると、ほんとうに驚いた顔をして「そんなに!無理だ」と良いリアクションを見せてくれます。彼女の盟友である中国人顔のエキストラも良い味を出していました。自分がいかに中国人の役を上手に演じて、時にカンフーも披露したかと自信たっぷりに語ります。

そんな感じで、彼女の様子や語り、周囲の人の話を重ねながら、徐々にメインストーリーに進んでいきます。ついに、助演女優賞にノミネートされたということで、TV Patrolという番組が取材にきます。彼女の住んでいる場所は、ちょっとしたお祭り状態になって、大いに盛り上がります。いよいよ、授賞式が始まり、助演女優賞にノミネートされた女優さんたちの出演シーンが流れます。彼女以外は、準主役級でセリフを喋っているところが映し出されるのですが、彼女だけがセリフなくただ写っているだけで「まだ地獄で生きていたのか!」と言われるシーンなのには笑いました。また、スターたちが彼女に関する印象を聞かれるシーンが流れるのですが、誰もが最初「え?誰だったっけ?」「知らない」と答えるのですが、彼女の容貌を説明すると「ああ、あの魔女みたいな!」とか、「あの幽霊を演じていた人か!」と嬉しそうに語り始めます。誰もが、彼女のことを「Nanay(おかあさん)」と呼んでいたと語ります。そして、最終的に選ばれたのは、彼女でした。授賞式での、彼女のスピーチで物語はおわります。

導入部にも書きましたが、この作品はモキュメンタリーという手法で制作されています。監督のアントワネット・ハダネオさんによれば95%は台本があるのだそうです。しかし、みなさんのカンタペイさんに対するリアクションがとても虚構のものとは思えず、どこまでが虚構で、本当なことなのかと想像すると楽しいですね。

2019年の東京国際映画祭では、彼女と、彼女の師匠であるシーグリッド・アーンドレア P・ベルナード監督、ラオスのマティ・ドー監督と共に、「ホラー女子会の密かな愉しみ」というセッションを持ったらしく、その時の記事がありましたので、下記にリンクを貼っておきます。

東京国際映画祭 :「ホラー女子会の秘かな愉しみ」アントワネット・ハダオネ(『リリア・カンタペイ、神出鬼没』監督)、マティー・ドー(『永遠の散歩』監督)、シーグリッド・アーンドレア P・ベルナード(『それぞれの記憶』監督)/TIFF : “The Discreet Charm of Girl’s Horror Talk” Antoinette Jadaone (Director of “Six Degrees of Separation from Lilia Cuntapay”), Mattie Do (Director of “The Last Walk”), Sigrid Andrea P. Bernardo (Director of “Untrue”)
東京国際映画祭のライナップからNeoLが注目した作品をピックアップ。監督や出演者らゲストのトークを紹介する。2つ目の紹介はアントワネット・ハダオネ(『リリア・カンタペイ、神出鬼没』監督)、マティー・ド

「リリア・カンタペイ、神出鬼没」の作品情報

オリジナルタイトル:Six Degrees of Separation from Lilia Cuntapay

公開年 2011年

監督 Antoinette Jadaone(Fan Girl)(Alone/Together)(愛して星に)(Beauty in a Bottle

主なキャスト Lilia Cuntapay

Peque Gallaga

視聴可能メディア Bili Bili(英語字幕のみ)

「リリア・カンタペイ、神出鬼没」のトレイラー

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