エリック・マッティ監督による小作品4本のオムニバス「Rabid」

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どういうことなのか、フィリピン映画に非常に多いのがオムニバス形式の作品です。日本映画や西洋の映画でオムニバス形式の映画というと、近年の作品ではちょっと思いつきませんが、なぜかフィリピンには異常に多く、本作は人気映画監督のエリック・マッティさんによる4本のオムニバス映画です。内容はホラーと、ちょっと怖い現実的な出来事を扱ったものでした。いずれも小ネタであり、気楽に見る程度の作品なんじゃないかと思います。個人的には、彼には大作を撮ってもらいたいですね。タイトルの「Rabid」は、「狂気じみた」と言う意味の英語で、4本を通じて描かれた狂気からつけられたのだと思います。

(Photo cited from IMDb)

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「Rabid」のストーリー

いずれも短い作品なのでネタバレを含んでいます。

1本目 Bad Luck Is A Bitch

いずれもコロナ禍の物語です。あるお金持ちの家族が、物乞いをしている老女を不憫に思い、家に招き入れ、食事を食べさせました。老女は口が聞けないようで、ますます不憫に思った妻は、家で家政婦として雇うことにしました。このあたりが、フィリピンらしくゆるいですね。この老女、家事もカンペにこなしますし、最初は良かったのですが、夜中に怪しげな儀式をしているところが娘により発見されます。また、儀式の最中は言葉を発しており、口が聞けないフリをしていたことに不信感を持った家族は、彼女に出て行ってもらおうとします。ところが、彼女は「自分はこの家が気に入った」と言って、それを拒否します。「え?拒否ってどういうこと?」と、驚く家族に対して、老女は何やら呪文を唱えます。すると、家族は彼女の言葉に抗えなくなってしまうのでした。そこからは、老女はやりたい放題です。家族の主のように振舞ったり、娘に対して彼氏が浮気していると洗脳して別れさせたり、父と母親に頭を壁に打ち付けさせたりします。とは言え、老女の支配が常に効いているわけではないので、ある日隙を見て、除霊師みたいな人に応援を頼みます。すると、若いファンキーな男の除霊師がやってきて、老女と戦います。このシーンは、悪霊に対して除霊しているというより、サイコキネシスを使ったバトルという様子で、幻魔大戦みたいでした。しかし、男は老女との戦に敗れてしまいました。結果的に、老女のサイキックパワーは同時に複数の人に使えないようで、家族が協力して撃退することができました。家族が庭に何か(おそらく老女の死体でしょう)を埋めているシーンののち、また物乞いを頼む老女があらわれましたが、今度は食べ物を渡して帰ってもらいました。

2本目 Nothing Beats Meat

2本目は15分程度と短く、よくわからない作品でした。炭鉱のようなところで、妻がうなり声をあげています。その妻を夫が介護しており、食事を食べさせています。妻が子供時代の映像を見たのち、2人は炭鉱から脱出します。その時、妻はウエディングドレスを着ていました。解説を読むと、妻は肉が食べたくてうなり声をあげていましたが、男が食べさせていたのは野菜のジュースだったそうです。それでも意味がわかりませんね。

3本目 Shit Happens

3本目は病院を舞台にした作品です。夜勤ナースが、老女にナースコールで呼ばれます。彼女は、部屋の隅をさして、怯えた表情で「彼女を追い払って」と懇願しますが、何も見えません。結局、その老女は亡くなりましたが、次に部屋を訪問すると、排便にまみれたオムツだけを残し、老女の姿が見えません。と思ったら、次のシーンでは老女は部屋で寝ており、死んでもいなかったようです(死亡確認を医師にさせなかったのか?と思いましたが)。怒ったナースは、老女に「いたずらしないで」と顔をひっぱたいたり、鼻をつまんだりします。さて、夜勤も明けたので帰ろうとするのですが、どうやっても病院から出ることができません。彼女の恋人が迎えに来ているのですが、どうやら彼女はパラレルワールドに迷い込んでいるような状況です。現実の世界では、彼女の方がみあたりません。その後、彼女は、老女の汚物を浴びさせられたり、引きずり回されたりと酷い目にあわされます。恋人と同僚ナースが、監視カメラ映像を確認したところ、彼女が見えない何かに引きずられるようすが見られました。引きずり込まれた病室は、老女の部屋で、彼らが訪れると、ナースの彼女はベッドにしばりつけられ、血まみれ、汚物まみれになっていました。それからしばらくして、彼女は不安な顔で入院しています。ナースコールでスタッフを呼ぶと、部屋の隅を指さし、怯えた顔で「彼女を追い払って」と懇願します。

4本目 Hm

主人公はテレビ局に勤務するシングルマザーで1人の息子と住んでいます。しかし、コロナの影響で、仕事ができず、生き残るためにオンラインで受注して、食事をデリバリーするサービスを考えます。フィリピンでは、サラリーマンもロックダウン中は給料がもらえなかったのでしょうか? あるいは、テレビ局の仕事というのが、パート勤務だったのでしょうか? ともかく、料理を作ってみるのですが、致命的なことに、彼女は料理ができません。そのため、ネットで見つけた隠し味を購入し、それを加えることで、人気のデリバリーサービスとなっていきました。しかし、やがて、彼女の料理を一番食べていた息子がおかしくなります。彼は非常に攻撃的になり、彼女の食べ物をむさぼるように食べるようになります。もはや、食事のことしか考えられなくなっています。どうしたものかと戸惑っていると、彼女の食事を食べたい隣人がやってきて、無理やり家に押し入ってきました。格闘の末、包丁で隣人を刺し殺したのですが、いつしか家は彼女の料理に飢えた人々に囲まれており、最後にはみんなが押し入ってきて、彼女は踏みつぶされます。

面白かったのは、1本目です。最近では見かけないサイキックバトルの片りんを見て、今の時代に、サイキックバトルは面白いかもと思いました。3本目は普通のホラーですが、怖いというより汚い描写が多かったですね。4本目も良くあるアイデアでしたね。おおむね、普通のオムニバス作品だったかなと思いました。エリック・マッティ監督には、もっと凄い作品を撮って欲しいですね。

「Rabid」の監督、出演者情報

本作品の監督をつとめたエリック・マッティさんは、フィリピンを代表する監督さんの1人です。お勧め作品は断然「牢獄処刑人」です。「牢獄処刑人」は、歴代フィリピン映画でもベスト10には入る作品だと思います。日本語字幕で見れるので、ぜひ多くの人に見てもらいたい作品です。出演俳優は、ひかくてき地味な顔ぶれです。最も印象深い1作目の老女を演じたJay Valencia Gloriosoさんは、80年代にちょい役で出演した後、ずっとブランクがあり、最近になって老女役でカムバックした女優さんです。何とも不気味な雰囲気が素晴らしく、今後もホラー映画を中心に活躍するのではないでしょうか?

「Rabid」の作品情報

オリジナルタイトル:Rabid

公開年 2021年

監督 Erik Matti(A Girl and a Guy)(バイバスト)(牢獄処刑人)(バトル・オブ・モンスターズ)(スパイダー・ボーイ ゴキブリンの逆襲)(存在するもの)(Seklusyon

主なキャスト Jay Valencia Glorioso

Ayeesha Cervantes

Donna Cariaga(Red

視聴可能メディア Youtube(英語字幕)

「Rabid」のトレイラー

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