カソリックの司祭になるためのプロセスがわからないのですが、他のフィリピン映画などから、司祭になるには神学校に通ったのち、半年程度の世間から隔離される期間を経て、宣教師になってキャリアをスタートするようです。本作のタイトルの「Seklusyon」は、「隠遁」とか「修道生活」と言った意味ですが、おそらく半年間の隔離期間を指しているものと思われ、本作では「隔離された場所で自分に向き合うための7日間」を指しているものと思われます。とは言え、実際そんな7日間があるのかわかりません。また、これはキリストが40日間荒野で過ごし、そのあいだ悪魔の誘惑にさらされたというエピソードと絡めているのではないかと思います。つまり、その7日間の隔離期間に、若い司祭見習いは、奇跡を起こす少女と一緒に過ごすこととなります。しかし、奇跡とはある意味で悪魔の誘惑のようなものでした・・・。

(Photo cited from IMDb)
「Seklusyon」のストーリー
時代は戦後まもなくのころです。教会で男が告解しているシーンから始まります。いくつかの小さな罪を数え上げ、そのために、私たちは「隠遁(Seclusion)」に入りますと告白します。とは言え、「私たち」と言っているので、その隠遁という過程に進むための定型的な懺悔なのかなと思いました。すると、司祭は「強力な悪魔の誘惑にさらされるだろう」と返します。
それとは別に、ベテラン司祭(リカルド)が調査のために、ある地を訪れました。そこでは、少女が病人を治し、奇跡だと騒がれていました。どうやら、この司祭は、この少女が奇跡を起こしているのかを調査に来たようです。司祭が見ている前で、ちょうど病人が運ばれてきました。少女は病人の身体をさわったのち、口から緑色の液体をビンの中に吐き出しました。すると、病人はすっかり治ったと言って歓喜します。
最初に登場した若い司祭見習い(ミゲル)は、田舎の邸宅に到着しました。どうやら、ミゲルを含めて4人の見習いが、隠遁の期間を過ごすようです。邸宅の管理人の男が、隠遁期間のルールを説明します。
さっそく、その日の夜から、若い司祭見習いたちは、奇妙な体験をします。それは、子供は部屋の中をうろつくようなものから、過去の苦い経験を想起させるようなものまでありました。
教会本部では、リカルドが目撃情報を報告しました。司教は、少女の親が殺されたこと、いつも少女の背後にいる修道女の女が怪しいと考えており、少女の奇跡が本物なのか、悪魔の手によるものなのか、より詳しい調査が必要であると判断しました。とは言え、地区の司祭は、少女の奇跡が認定されることを望んでおり、余計な調査を行う調査官の邪魔をするので、調査は思ったようには進みません。
その後、どういう理由だがわかりませんが、奇跡を起こす少女と修道女が、若い司祭見習いたちが隠遁期間を過ごしている邸宅に滞在することとなりました。さっそく、少女は、なぜか腐っていた夕食のパンを新鮮なものに戻すという奇跡を起こし、一同の度肝を抜きます。
また、不愛想だった邸宅の管理人の過去を言い当て、予言めいたことを語ることで篭絡し、管理人は翌日笑顔で邸宅を去っていきました。
教会本部には、修道女に関する調査結果が届きます。報告によれば、彼女は戦時中に日本兵たちによってレイプされたことがあることがわかりました。この時点では、悪魔が扮した修道女が、少女を使って人々を欺いているのではないかと疑われていました。実際、修道女の怪しげな目つきは、いかにも悪魔的です。しかし、後にわかりますが、実際は修道女は少女の手駒でしかありませんでした。
(ネタバレ)その後、4人の司祭見習いたちは、過去に自分が犯した罪に関する奇怪な体験に襲われるようになり、精神的に疲弊していきます。そんなところに、少女が彼らに救いの手を差し伸べ、司祭見習いたちは、1人また1人と、少女のシンパになっていきます。とは言え、ミゲルだけが少女にすがることを拒否し、その場を逃げ出します。その後、幻覚の中で少女を殺すシーンはありましたが、少女は何事もなかったように次のシーンに出てきますので、それはあくまで、ミゲルの幻覚の中での出来事だったのでしょう。
そんなとき、ついに、教会本部が、少女が偽物の預言者であることを突き止めました。急いで現場に向かおうとする司祭のひとりが、少女によってシンパにされた邸宅の管理人によって射殺されました。リカルドは、その光景に驚きますが、ともかく現場に向かいます。リカルドは、祈りをあげ、少女から悪魔を払おうとします。そして、「人は善を選ぶのだ」と少女に叫びますが、少女は「違う、人は安易な方を選ぶのだ。私は、人間の自由意志の産物なのだ」と返します。結局、この戦いは少女、つまり悪魔が勝ったようで、のちにリカルドの焼死体がちらっと映されます。
ミゲルを除いた3人には、地区の司祭により、隠遁期間終了の儀式が行われ、少女が手にするゴブレットから緑色の液体を与えられます。少女は司教の帽子を被り、その地区の宗教的王として君臨しています。
悪魔の誘惑がいかに人間にとって抗いがたいものであるのかを描いた作品だったのでしょう。自分だって、4人の若い司祭見習いの立場ならば、容易に少女の側に転んでしまうだろうなと思います。私はキリスト教徒ではないので、それで罪の意識を感じることもないですが、熱心なキリスト教徒ならば、何とも後味の悪い視聴感なんじゃないかと想像します。
「Seklusyon」の監督、出演者情報
本作品の監督をつとめたエリック・マッティさんは、フィリピンを代表する監督さんの1人で、お勧め作品は断然「牢獄処刑人」です。本作も良くできたホラーでしたが、フィリピンでは数少ない面白いアクション映画を撮れる人なので、アクション映画に専念して欲しいですね。役者の方では、怪しい少女を演じたRhed Bustamanteさんは、「生き人形マリア」で、少女マリアを演じた少女です。とは言え「生き人形マリア」では、人形の方のマリアの出番の方が圧倒的に多かったのですが・・。
「Seklusyon」の作品情報
オリジナルタイトル:Seklusyon
公開年 2016年
監督 Erik Matti(A Girl and a Guy)(バイバスト)(牢獄処刑人)(バトル・オブ・モンスターズ)(スパイダー・ボーイ ゴキブリンの逆襲)(存在するもの)
主なキャスト Rhed Bustamante
Neil Ryan Sese
Ronnie Alonte
視聴可能メディア Dailymotion(英語字幕)

