実話をもとにした作品、フィリピンの蟹工船「Tumbang preso」

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フィリピンのニュースを毎日読んでいる私としては、驚きはしないのですが、本作は人身売買によって連れて来られた缶詰工場で、監禁されながら働く少年少女の実話をベースにした作品です。フィリピンでは、今でも似たようなケースが、ときどき検挙されているので、本作が撮られた10年前ならば、もっとあっただろうなと思います。蟹工船は読んだことがないのですが、労働環境的には似たようなものなのではないでしょうか? 蟹工船は、たぶん人身売買ではなさそうですが・・・。タイトルの「Tumbang preso」は、「倒れた囚人」という意味です。囚人のような環境で働いていることを指していると思われますが、「Tumbang preso」は、フィリピンの缶蹴りのような遊びでもあります。缶を倒して逃げ出す遊びを、最後の子供たちの脱出に例えたものだと思われます。

(Photo cited from IMDb)

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「Tumbang preso」のストーリー

狭い部屋に詰め込まれて寝ている少年少女たちの物語です。彼らは、朝5時に起こされ、工場でイワシを缶詰にする作業に従事します。工場と言っても、小さな狭いスペースに、10人程度の少年たちが手作業で、イワシを缶に入れる作業をしています。非衛生的な環境で、フィリピンの缶詰を食べてはいけないな・・と思ってしまいました。この少年少女らを支配しているのが、工場オーナーの一族です。一族と書きましたが、血縁関係があるのかはわかりません。ともかく、妻、夫、息子のように見えます。夫は、手の遅い子供に「マニラ湾に沈めるぞ」と暴言を吐きます。また、みなが手作業で作業しているため、缶のふちで手を切ってしまい、感染を起こしており、骨まで露出しているほどです。可愛そうですが、そんな手で食品を触らないでくれと思ってしまいました。

夜になると、彼らはふたたびタコ部屋に閉じ込められ、外側から施錠されます。昼の間は、ある程度自由時間もあるようで、小さな子供は鬼ごっこをして遊んでいました。おそらく、その鬼ごっこが「Tumbang preso」だと思われます。

こんな生活を続けられないと考えている少年(カルロ)は、従妹(ジェア)に逃亡を提案します。日中から脱出経路を確認して、ついに夜中に逃亡を企てましたが、壁の上に埋め込まれたガラスの破片を踏んでしまい、失敗に終わります。単純ですが、このガラスの破片を埋める方法は、防犯には有効そうですね・・・。当然、カルロはひどく脅され、服従を迫られます。しかし、彼は「うん」と言いません。すると、夫はジュアの首に包丁を当てて、「今度逃げ出したら、こいつの首を落とすぞ」と脅します。さすがに「もう逃げません」と言うしかありません。また、夫婦は「仮に警察に逃げ込んでも、自分たちは警察署長と繋がっているから、ここに連れ戻されるだろう」と言って、子供たちに絶望を与えます。

しかし、カルロは、ガラスを踏んで壁から転落したため、病院に連れて行かざるを得ない状態でした。これには、マダムがカルロを懐柔し、余計なことを言わないように監視しながら、医師の診察を受けさせました。医師は、最初から2人の関係を疑っており、詳しく関係を聞き出しますが、コロコロ変わる説明に、ますます疑惑が高まります。また、マダムの説明と傷が一致せず、カルロの手があまりに傷ついていることも不審な点でした。医師は、レントゲンを撮影するときに、カルロにこっそりメモを渡しました。しかし、結局、このメモが何の役にたったのかわかりませんでした。

工場に復帰したあとも、カルロは脱出の計画を続けました。どういう意味があったのかわかりませんが、夜中に何か作業をしていました。その作業に意味があったのか、脱出の日にカモフラージュになるように、普段から音を立てていたのかわかりませんでした。

そんな日々でしたが、同僚の1人がひどく咳き込むようになってきました。ついに5日目に、休息が与えられましたが、その日の夜中に亡くなってしまいます。夫婦は、不幸な事故であったことを強調し、その場を取り繕うとしますが、夫婦が亡くなった少年の本名も知らないこと、通夜をしないと言ったことで、子供たちの反感を買います。

(ネタバレ)ついに2回目の逃亡が行われました。カルロは足のケガがひどく、脱出できる状態ではないため、ジェアが壁を乗り越え、近くの民家に逃げ込みます。当初は、不審がっていた隣人も、すぐに血相を変えて追いかけてきたチンピラ風の男が、警察を名乗り、少女が人を殺したので追いかけていると、誰にもわかる嘘を言ったため、ジェアを信じることになりました。彼女はジェアをかくまいます。すぐに、工場に捜査の手が入り、夫と息子が逮捕されましたが、先に手を打って子供を隠したマダムは無事で、子供たちはまだみつかっていません。そこに、出頭したジェアと隣人が加わり、残りの子供たちが危機にあることがわかります。この時、ジュアが警察に語ったのは、学校の先生がマニラに良い仕事があると言って紹介したというのです。その後、マニラにつくとオークションにかけられ、自分たちは缶詰工場に売られたとのことでした。事実を元にしているわけですから、教師が人身売買をあっせんとは、酷い話ですね。

工場では、マダムが慌てて証拠になる書類を焼き払おうとしたさいに、火が段ボールに引火し、捕らわれた子供たちが、そのまま焼け死んでしまいそうです。しかし、何とか脱出し、そこに警察官がかけつけました。最後のシーンは、田舎の美しい景色の中をジュアが駆け、足を引きずるカルロが追うシーンです。

結局、医師のわたしたメモはなんだったのか? 夜中の作業はなんだったのか? わからないところもありましたが、概ねわかりやすいストーリーでした。また、主人公が足を負傷しているため、火事の中から脱出できるのか?というスリリングな要素もあり、映画的によくできていました。

「Tumbang preso」の監督、出演者情報

本作の監督をつとめたKip Oebandaさんは、私が注目している監督さんです。本作や「Liway」のような、実際の出来事をベースにした社会派の作品と、大ヒットシリーズ「Bar Boys」のような大衆的な作品の両方をバランスよく撮る監督さんです。そして、本作がデビュー作です。これがデビュー作ならば、相当いいですね! 俳優陣は、少年少女はまだ若いのでキャリアは少ないですが、工場のオーナー夫婦や医師の役は、大物俳優によって演じられています。いつも思いますが、なぜフィリピンでは、監督のデビュー作に、有名な俳優をキャストできるのでしょうか?

「Tumbang preso」の作品情報

オリジナルタイトル:Tumbang preso

公開年 2014年

監督 Kip Oebanda(Liway)(Nay)(Balota)(Bar Boys: After School)(Bar Boys

主なキャスト Kokoy De Santos

Therese Malvar(Hamog

Star Orjaliza

視聴可能メディア Bili Bili(英語字幕)

「Tumbang preso」のトレイラー

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