本作は、2025年のMetro Manila Film Festivalで見た4本目の映画です。こちらのポスターでは、タイトルが「Bar Boys 2」となっていて、4人の男たちの写真のデザインだったので、バーで働く男たちの話なのかな? 雰囲気的にゲイの話かなと思っていたのですが、意外にも弁護士ものでした。ここでいう「Bar」とは、弁護士の司法試験「Bar Exam」を指していることを本作の後半になって知りました。「2」というくらいで、前作があり、前作は彼らが司法試験に挑む物語だったようです。本作は、その後の彼らがどう生きたか、何に迷っているかを描いた作品のようです。前作はYoutubeで英語字幕付きで見ることができるので、先に見ておけばよかったですね。日本に帰ってから見たいと思います。内容としては、骨格となるほどのストーリーはなく、4人の中年男性と、4人の法学部の学生の物語で、それぞれ弁護士の道に対する思いや、こんなはずではなかったという思いがあり、お互いに影響を与え合って、また頑張ろうと思うようになるという物語です。

(Photo cited from IMDb)
「Bar Boys: After School」のストーリー
はっきりしたストーリーがないので描写が難しいので、状況を書いていこうと思います。
4人の中年男性が集まっています。3人は前作で司法試験に合格した弁護士で、1人は高校の同級生ですが、法学部の入学試験の落ちてしまい、その後俳優として10年間アメリカで活動していました。しかし、思うところあって、フィリピンに戻り、司法学生として若い人たちと学んでいます。彼は、そこそこ有名な俳優で、サインや写真をねだられることもしばしばです。
骨格となる出来事は2つあります。1つは、貧しい人のために働く弁護士(エリック)が抱えることとなった労働紛争です。依頼に来た農民たちの1人が、いきなり射殺されるというショッキングな始まり方をします。大きい事件だったので、この事件を中心に物語が進んでいくのかと思いましたが、そうではありません。というのも企業側についている弁護士のおばちゃんが、引き延ばし戦術を実施しているため、裁判が一向に進まないのです。これはフィリピンの司法システムの大きな問題ですね。弁護士が病気になった、証人が来れなくなったなどと理由をつけて、いくらでも開廷を遅らせることができます。そのうち、貧乏人は裁判費用に耐えられなくなってあきらめるという寸法です。エリックの場合、お金を払えない農民のために、収穫したなすびを受け取るだけなので、ひたすらなすびが増えていきます。
もう1つの出来事は、3人を教えた先生の介護をするために、4人の男で分担して、彼女のもとを訪れることです。元俳優の男は、その先生に教わっていないのですが、名付け親だったという設定になっています。そして代わる代わる彼女のもとに訪れるときに、弁護士として役に立つ教訓が得られるという寸法です。
あとの2人を紹介すると、1人は大学の先生として、学生に法律を教えています。彼の関係で、後半は学生が司法試験を受けるというクライマックスに進みます。もう1人は、最も印象が薄いのですが、比較的お金になる仕事をうけて、ひと財産つくったのですが、妻と離婚することになり、妻と娘を失いました。自分が金で家庭も支配できると考えていたことに、作中で気づかされ、良い弁護士、良い人間へと変わっていきます。
(ネタバレ)労働裁判については、最後まで進まないのですが、会社側が殺し屋を雇った証拠(どんな証拠だと思いましたが)を、都合よくつかむことができて、今後は有利に進めることができそうです。
4人の学生たちの中で、1人だけ勤労学生がいました。彼は、レストランで働いており、十分に勉強の時間が取れません。結局、4人の学生の中では、彼だけ司法試験に落ちてしまいました。驚いたのは、司法試験の成績優秀者トップ3も同時に発表されていました。フィリピンでは、そんなのあるんですね。弁護士になったときに箔をつけるのに役立ちそうです。
勤労学生は貯金が尽きてしまい、これ以上勉学を続けるのは困難と見切りをつけようとしました。いつも働いてたレストランに戻りましたが、やはり仕事が手につきません。開店まで休憩をもらいました。家族と電話で話、地元に戻るようなこと喋ったあと、レストランに戻ると、なぜか店はお客さんでいっぱいで、しかも全員が席を立って帰りました。よく見ると、全員が知り合いです。彼らは大量のチップを置いていきました。レストランのオーナーは、彼に「チップは君のためのものだから、ありがたくいただきなさい」と言います。彼は涙ながらにチップを集めます。
また、介護をしていた先生もついに亡くなりました。彼女は身内がおらず、教え子4人の寂しい葬式になると思われたのですが、彼女が弁護したクライエントたちが次々と訪れました。男たち、学生たちは、先生の人生の集大成を見たような気がして、大いに勇気づけられました。そしてエンディングです。
ストーリーとして書くと、こんなものですが、4人の男と先生、そして学生たちが交流することで、弁護士とはなんぞや、人生の意味とは何かということを語り合う物語です。深く刺さる人には刺さる作品なんじゃないかと思います。人生を振り返る時期に、見ると良さそうです。
「Bar Boys: After School」の監督、出演者情報
本作の監督をつとめたKip Oebandaさんは、まだ作品数は多くありませんが、「Balota」や「Liway」など非常に印象的な作品を残している監督さんです。本作も一筋縄ではいかない味わい深い作品でしたね。今後も、この監督の作品は注目していきたいと思います。俳優陣では、なんといってもエリックを演じたカルロ・アキノさんが最も有名でしょう。本サイトでも最も紹介している俳優さんです。彼の人の好さそうな、マザコン、ファザコンっぽい雰囲気は、フィリピン映画には欠かせませんね。
「Bar Boys: After School」の作品情報
オリジナルタイトル:Bar Boys: After School
公開年 2025年
監督 Kip Oebanda(Liway)(Nay)(Balota)(Bar Boys)(Tumbang preso)
主なキャスト Carlo Aquino (Bata bata paano ka ginawa?) (Love You Long Time)(Seasons:めぐりゆく季節の中で)(クロスポイント)(セックスの才能)(Third World Romance)(The Missing)(GOYO 若き将軍)(Hold me close)(I love Lizzy)(Ulan)(Whispers in the Wind)(この時が果てるまで)(Bar Boys)
Rocco Nacino(Bar Boys)
Enzo Pineda(Bar Boys)
視聴可能メディア なし(フィリピンの劇場で鑑賞)

