本作は、続編の2作目「Ang babae sa septic tank 2: #ForeverIsNotEnough」を先に見ており、その第1作になる作品です。2作目では、フィリピンの上沼恵美子こと、ウージン・ドミンゴさんが大暴れという内容だったので、きっと1作目もそうだと思いながら見ていたのですが、ドミンゴさんの登場はかなり遅めで、確かに強烈な性格を披露はしますが、そのシーンは短く、最後にちょっとひどい目に遭うと言う構成になっていました。とは言え、これだけ短いシーンの登場で、観客に強烈な印象を与え、シリーズ映画が3作、ドラマ化もされたのだから、どれだけ彼女の存在感が大きかったのかわかりますね(ちなみに、4作目が2026年に制作中と言う情報もあります)。3作目はまだ見ておりませんが、2作目とどちらが面白いかと聞かれれば、2作目をおすすめします。1作目もドミンゴさんが登場する前に、監督とプロデューサーがどんな映画にしようか、誰をキャスティングしようかと、あれこれ語るシーンなど面白いシーンもあるのですが、やはりドミンゴさん成分が少なすぎて、物足りないという印象を受けてしまいました。ドミンゴさんファンならば、必ず見るべき映画シリーズです。タイトルの「Ang babae sa septic tank」は、「浄化槽の女」という意味で、最後の汚物まみれの浄化槽に落ちるシーンに由来します。

(Photo cited from IMDb)
「Ang babae sa septic tank」のストーリー
ゴミ山でゴミを拾いスラム街で暮らす子供たちが描かれます。「シーン○○」という声が入ることから、これが映画のシーンであることがわかります。そして、スラムに住む貧しい家庭の母親が、小さな子供を金持ちの滞在するホテルに届け、売春させていることがわかります。
場面が変わって、若い監督とプロデューサー、その女上司の3人のシーンになります。彼らは脚本の出来に手ごたえを持っており、これでオスカーを取るぞと盛り上がっています。この作品中の母親を演じる女優としてドミンゴさんが既に選ばれており、彼女には脚本も送られています。とは言え、若い監督とプロデューサーは、他の女優を起用することも考えており、他の女優の場合、どんなシーンになるか想像して盛り上がります。美人女優を起用する案もありましたが、美人女優だと子供をたくさん産んだように見えず、子供が多いほど貧困に説得力が増すので、やっぱりたくさん子供を産んでいそうな体型のドミンゴさんがいいだろうと落ち着きます。その後、売春させるのは男の子の方が悲劇性が増しそうだとか、ミュージカルにしようなど、2人の想像シーンが続き、後半30分でいよいよドミンゴさんに会います。
ドミンゴさんは、最近メインストリームから外れていたようで、やる気満々です。脚本についても絶賛で、ぜひやらせて欲しいと前のめりです。しかし、第2作目で散々、若い監督らを困らせた「提案」は1作目でも健在でした。母親が涙を流して子供への愛を語るシーンを追加するなど、わかりやすいメロドラマへと改変していきます。私は2作目も見ていたので、この「提案」は安易なメロドラマを量産するフィリピン映画界へのアイロニーなのかなと思いました。監督たちは、困惑しながらも彼女の提案を受け入れました。しかし、難色を示したのは最後の浄化槽に落ちるシーンです。このシーンの必然性はわからないのですが、撮影の翌日に海外に行くため飛行機に乗るなどと、理由をつけて回避しようとします。やむなく「考慮する」と言って交渉は締結しました。
その後、監督つプロデューサー、その上司は、スラムに訪れ、良いシーンが撮れる場所を探します。ついに理想的な場所を見つけて喜んでいると、乗ってきた車がスラムの人々の略奪にあってしまいました。3人はショックを受けます。
そして、いよいよ撮影です。浄化槽の穴の前で、しぶっているドミンゴさんですが、うっかり自分から落ちてしまいました。汚物まみれになった彼女は、やむなく表情を作り、そのシーンの撮影が始まります。そして、エンディングです。
2作目は、ドミンゴさんが映画をどんどん改変していくシーンがメインパートでしたが、1作目では、それは数あるシーンの1つでしかなかったのですね。そのシーンが面白すぎて、2作目ができたんだなということがわかりました。車が略奪にあうシーンなど、無くても良いシーンでしたが、本作は若い監督らがこれから作り上げる作品について想像するシーンが面白さだと考えられていたのでしょう。そう考えると、2作目で、その考え方をドミンゴさんが真っ二つにへし折るシーンは、強烈に輝いていましたね。
「Ang babae sa septic tank」の監督、出演者情報
本作の監督をつとめたMarlon Riveraさんは、多作とはいえない監督さんで、おそらく本シリーズ以外にヒットのない人だと思います。このシリーズだけで監督としてやっていけるので、金脈を掘り当てましたね。また、俳優として、他の監督さんの作品に出演することも多く、しかも端役ではない役を演じます。まさに冴えない男という風貌が味わい深いので、役者としても呼ばれることが多そうです。主役のドミンゴさんは、色んな作品に出演しています。圧倒的にコメディが多いのですが、割とシリアスな役を演じることもあり、演技は女優であることが最近になってわかってきました。
「Ang babae sa septic tank」の作品情報
オリジナルタイトル:Ang babae sa septic tank
公開年 2011年
監督 Marlon Rivera(Ang babae sa septic tank 2)
主なキャスト Eugene Domingo(Ten Little Mistresses)(悪キャラ養成アカデミー)(Big Night!)(Barber’s Tales)(Becky and Badette)(Ang babae sa septic tank 2)
Kean Cipriano(Ang babae sa septic tank 2)
Cai Cortez(English Only, Please)(Ang taba ko kasi)(Ang babae sa septic tank 2)
視聴可能メディア Bili Bili(英語字幕のみ)
