フィリピンのテレビ・映画界で、誰が現在のトップ女優かと聞けば、ほとんどの人がBarbie Fortezaさんの名前をあげるでしょう。トップ中のトップ女優が、本作では悪役を育てる学校に入学し、悪の美学を叩きこまれ、悪役を演じるというだけでも、フィリピン人は大興奮でしょう。私がフィリピンに住んでいた時に話題になっていたドラマ「Maria Clara at Ibarra」でも主演を務めていました。めちゃくちゃ童顔なのですが、時に困った顔がおばさんぽいのが良いんんですよね。大好きな女優さんです。テレビドラマ出演が多すぎて、映画ではあまり彼女を見ることができないのですが、多少は映画にも出ているので、今度見て行こうと思います。
また、本作は、2025年9月11日にネットフリックスに追加された最新フィリピン映画で、しかも日本語字幕付きなので誰でも楽しむことができます。物語としては、虐げられていた女性が、テレビの中の悪玉養成学校にスカウトされ、悪の技術を教え込まれ、現実生活で復讐します。しかし、彼女はテレビの中の世界で悪役を演じなくてはならなくなり、物語は予想もつかない方向に進んでいきます。フィリピンコメディの代表としておすすめできる作品です。

(Photo cited from IMDb)
「悪キャラ養成アカデミー」のストーリー
主人公のジジは、韓国焼き肉の副店長として働いています。しかし、店長が横暴で、ひどい扱いを受けています。また、母親は買い物依存症で、ジジにお金をたかるダメ親です。ジジには彼氏がいるのですが、浮気していることが発覚。ジジは、怒りが爆発しそうな状態ですが、なんとか踏みとどまっていました。
そんなおりに、職場のパーティで大型テレビが当たりました。家に持ってかえって見ると、1つのドラマしか映りません。そのドラマは、悪役(モーリシア)が主人公をひたすらいじめるという物語なのですが、徐々にジジは、ドラマの中の悪役に惹かれていきます。そしてついに、彼女の怒りが沸点に達したとき、テレビの中のモーリシアから呼びかけがあり、彼女をテレビの中の世界、悪役を養成する学校へといざないます。
悪役養成学校で、様々な講師から悪の作法を学んだジジは、現実世界で自分を迫害していた人々に復讐して、自分のまわりの問題を解決することができました。
(ややネタバレ)ここから物語は混とんとしてきます。悪役学校を優秀な成績で卒業したジジは。ドラマの中でモーリシアの娘として、ドラマの主人公をいじめる役に抜擢されます。しかし、現実世界では自分を抑圧した人々に威勢の良い悪を演じられたジジですが、何の恨みもない主人公をいじめるには、迫力が出ません。そんなところをドラマのイケメン青年に見初められてしまいます。
(ネタバレ)徐々に青年のペースに染まってきたジジは、ドラマの世界の中の「善玉学校」にも連れていかれ、徐々に「人間は悪玉の部分と善玉の部分を持ち合わせている」ということに気づきます。しかし、ドラマの中では自分の役割を演じきれない人間は「落ち目の島」に流されるという運命が待っています。しかし、どうしても単純に悪玉を演じ続けることに疑問を持ったジジは、ついにエキストラたちと反乱を起こし、監督やスポンサーを巻き込んでいきます。結局、悪の親玉であるモーリシアを打ち倒したジジらは、テレビ局から多様な番組をつくる方向へと転換させることに成功。ジジは、現実世界でドラマのイケメン青年と楽しそうにドラマを見るところでエンディングです。
最後の方は訳が分からないですが、適度に陽気な感じでストーリーが破綻していて、良い意味でフィリピンらしい作品でした。
「悪キャラ養成アカデミー」の監督、出演者情報
本作の監督をつとめたChris Martinezさんは、監督よりも脚本家の経験の方が多く、時にはプロデューサーもつとめる万能映画人です。おそらく「アイ・ドゥ・ビドゥビドゥ」というミュージカル映画が代表作です。
本作の見どころは何と言っても主演のBarbie Fortezaさんです。日本人受けする童顔の可愛い容姿なのですが、困惑した顔がおばさんぽく、怒った顔もチャーミングです。フィリピンのトップ女優の百面相をぜひ楽しんでもらいたいです。
「悪キャラ養成アカデミー」の作品情報
オリジナルタイトル:Kontrabida Academy
公開年 2025年
監督 Chris Martinez
主なキャスト Barbie Forteza
Eugene Domingo(Ten Little Mistresses)
Jameson Blake
視聴可能メディア Netflix(日本語字幕)