非常に印象的な「黙示録の子供」というタイトルが付けられている本作は、作品自体よりも、作品に関わる撮影秘話が有名な作品です。というのは、監督らは、若いサーファーに恋をした中年女性の話を撮ろうと考えていたのですが、もっとサーフィンのことを知る必要があると考え、オーロラ州のバレルという街に行って調査を行います。そこで、アメリカ映画「地獄の黙示録」の撮影が行われたことを知り、さらに興味深い伝説を耳にします。それは、「地獄の黙示録」のクルーが、残していったサーフボードを、地元の少年5人が使ってサーフィンを学び、フィリピン初のサーフィンの世界チャンピョンになったというものでした。この興味深い伝説を聞いた監督らは、脚本を大幅に変更し、「地獄の黙示録」の監督が、フィリピンに落とし子を作っていて、その子供がサーフィンをしているという物語にしたというのです。とは言え、映画作品としては特筆すべきものはなく、サーフィンをしたり、恋人たちとイチャイチャしながら、過去の父親の話が明らかになり、異母兄弟の2人が和解するという物語です。

(Photo cited from IMDb)
「Apocalypse Child」のストーリー
主人公(フォード)と恋人らしき女(フィオナ)のセックスシーンから始まります。フォードは、サーフィンのコーチをしながら、のんびりと生活していることがわかります。やがて、彼の異母兄弟である下院議員(リッチ)が話に絡むようになってきますが、お互いによそよそしい態度です。どうやら、最近、2人の父親が亡くなったこともわかります。
リッチは美しい恋人(セレナ)を連れてきており、近々、地元の人に向けてお披露目パーティをすることとなっています。それまでのあいだ、セレナがフォードからサーフィンを教えてもらうこととなりました。ひたすらサーフィンをして、休憩するという毎日が続き、やや親密さがうまれてきます。とは言え何も起こらないのですが、それを悟ってなのか、リッチはセレナに、「自分はまだ忙しいから、サーフィンの上級者コースを受講するように」と言います。セレナは、どういう理由かわかりませんが、リッチがフォードと浮気することを望んでいることを悟ります。その後、フォードとリッチは、なんとなくサーフィンに熱が入らなくなり、少し観光したり、無為に日々を過ごすようになりました。
いよいよ、リッチとセレナのお披露目パーティの日となり、セレナは地元住民に将来の妻として紹介されます。そして、その夜、セレナとフォードは身体の関係を持ちます。また、自分には理解できなかったのですが、リッチは登場以来ずっとフォードの母に執着していました。パーティーでも、むしろセレナよりもフォードの母の方が主役のような扱いです。セレナが浮気しているあいだに、フォードの母から、フォードの真の父親に関する話を聞きました。それは、「地獄の黙示録」の監督が、当時14歳だったフォードの母をレイプし、妊娠させました。それをかばったのが、リッチの父(書類上はフォードの父でもある)だったというのです。なぜか、リッチはその話を聞きながら、フォードの母とセックスします。
(ネタバレ)フォードとセレナが、セックスを終えて裸で寄り添っているところに、フィオナが訪れました。彼女は酷く動揺し、泣きながら「ちょっとだけ抱きしめて」と言いますが、フォードはそれをしませんでした。翌朝、腹が立ってきたフィオナに、フォードは殴られ、取っ組み合いの喧嘩になり、その後、フォードはセレナを連れて、リッチの元に戻ります。リッチは浮気については何も言わず、フォードに「DNA検査を受けて欲しい」と言います。これは、作中で何度もリッチが頼んでいることなのですが、フォードは頑なに検査を受けないのです。今回もなんだかんだとはぐらかされました。
その後、2人は、父親の思い出を語ります。なぜか、フォードが悪いことをしてもリッチだけが怒られたこと、リッチが進学のために出て行ったのち、父は全くフォードと母を訪れなくなったことなどが、2人のあいだで語られます。なんとなくすっきりした2人は、サーフボードを持って海に漕ぎ出します。フォードが「セレナのことごめんな」というと、リッチは「お前のかあちゃんのことごめんな」と言います。これにはフォードも目を丸くしました。最後のシーンは、フィオナがマニラに帰るためにバスに乗っているシーンです。なぜか、口元には微笑が漂っています。
アメリカ人が14歳の娘を妊娠させ、その責任を被ったという父親はどういう人だったのでしょうね? その父親の亡霊に憑りつかれているリッチと、アメリカ人の父親の幻想に憑りつかれているフォードの物語といったところでしょうか。しかし、「地獄の黙示録」の監督にとっては、14歳の少女をレイプしたという映画を勝手にフィリピンで作られ、迷惑だっただろうなと思ってしまいます。
「Apocalypse Child」の監督、出演者情報
本作の監督をつとめたMario Cornejoさんは、映画監督としては3本しか作品を残しておらず、あまり情報のない監督さんです。しかし、プロデューサーとしては、「レオノールの脳内ヒプナゴジア(半覚醒)」という快作を世に出した人でもあります。とは言え、彼の映画界における業績はそんなものです。主役のフォードを演じたSid Luceroさんは、かすれ声が印象的な個性派俳優で、最近はキレ芸がはまって、多くの作品でお父さんを演じています。セレナを演じたGwen Zamoraさんは、印象的な美人さんでしたが、それほど出演作も多くなく、2018年を最後に映画やテレビの出演はなくなっています。
「Apocalypse Child」の作品情報
オリジナルタイトル:Apocalypse Child
公開年 2015年
監督 Mario Cornejo
主なキャスト Sid Lucero(アウトサイド)(Smaller and Smaller Circles)(Posthouse)(ヴァージンフォレスト 愛欲の奴隷)(Triggered)
RK Bagatsing(Love Child)(K’na the Dreamweaver)(父が綴った手紙には)
Gwen Zamora
視聴可能メディア ロシアの怪しいサイト(英語字幕)

