本作は、U-NEXTで追加のレンタル料金を払わなければ見られなかったのが、いつの間にか見放題作品に変更されていた作品です。VIVA Filmsのセクシー映画で、よくできた作品でした。借金の形として、父親よって売り飛ばされた娘が、イヤイヤ性的な奉仕をさせられるも、生き残るため、より安全に生活するためには、買った男を快楽で篭絡する方が賢明と、徐々にたくましく変わっていく物語です。第二次世界大戦という時代設定で、アメリカ軍が撤退し、日本軍が侵攻してくる時代です。そのなかで、柔軟に生存戦略を変えながら生き残る住民とオーバーラップして描かれるのも上手く、自立的に変化に対応できない者は、見捨てられる描写も納得できました。主演をつとめたのは、こうした可哀そうな女優を演じればフィリピンNo.1と思われるAngeli Khangさんです。おそらく、彼女は非常に賢いのでしょう。ただ泣き叫ぶだけのウブな少女が、自分の意思をもって、激動の時代に適応する女に変化していく様を見事に演じていました。

(Photo cited from IMDb)
「セリーナ 淫らな奉仕」のストーリー
戦時中のルソン島北部の村が舞台です。マッカーサが潜水艦でオーストラリアに逃れ、日本軍が進撃してきているというニュースが流れています。そんな中、泣き叫ぶ娘を引っ張っていく父親の姿があります。彼は、森の中に住む男(ティアゴ)に、娘(セリーナ)を売り飛ばしてしまいました。男は、50歳前後でしょうか、右足を引きずる孤独な男です。彼は、金貸しをしており、その容赦ない取り立てのため、住民たちに嫌われています。また、盲目の青年を奴隷として所有しています。セリーナは、そんな男の性奴隷となってしまいます。
ティアゴは、さっそく娘を脱がし、処女をいただきました。その後も、下着をつけさせなかったり、裸で奉仕させてサディスティックな欲望を満足させます。夜中に、森を抜け出して親元に帰ったこともありますが、父親に「もう俺はお前の父親ではない」と拒絶されてしまいます。彼女は、絶望して、男の元に戻ります。
男は、借金の形に引き取った貴金属を溶かし、金のインゴットを作り、鍵をかけた家具の中にしまいこんでいます。彼は、満足そうに、いかに金が力を持つかをセリーナに説きますが、彼女は、男が金の力を信じ込もうとしていると感じとり、そこから男を性的に篭絡することを選びます。自ら、積極的に男に快楽を与えるセリーナに対して、ティアゴはメロメロになってしまいます。アクセサリーを与えたり、綺麗な服を与えるようになります。また、奴隷扱いしていた盲目の男に対しても、比較的穏やかな扱いをするようになります。たまに一緒に酒を飲む、近隣の男たちに、「物腰が柔らかくなった。笑顔が見られるようになった」と言われます。余談ですが、この時に飲んでいたオレンジ色の酒が何だったのか、私は気になっています。
また、セリーナは、ティアゴが寝入っているとき、留守のときに、盲目の青年と話をするようになります。彼は、7歳で親に売り飛ばされ、男の機嫌が悪いときに目を焼かれたため、盲目になったというのです。それでも、盲目の青年は、今まで育ててくれた恩があると語ります。セリーナは、そんな彼に同情し、身体の関係を持つようになりました。この時の2人の絡みのシーンでしったのですが、行為中に「気持ちいい」と言うのに、「Masarap(マサラップ)」という言葉を使っていたことです。通常、「美味しい」という意味だと覚えますが、「気持ちいい」と言う時にも使うんですね。良く効いていると、ティアゴも「Masarap」を連呼していました。
その後、セリーナの前に買われて、気が触れてしまった女、ひとり迷い込んで殺された日本兵のシーンなどを経て、いよいよ後半です。
(ネタバレ)すっかり丸くなったティアゴは、近隣の男たちと酒を飲み、酔っ払ってしまいます。こんな生き方をしていたら、いつか殺されるだろうと思っていましたが、予想外のかたちで復讐を受けることとなります。セリーヌの父が、酔っ払ったティアゴを介抱していたとき、父は、自分が種無しだったこと、ティアゴが自分の妻とも関係を持っていたことを知っていたこと、セリーヌの生物学的な父親がティアゴであることを伝えます。実の娘と政敵関係を持たせることが、父の復讐だったというのです。性奴隷を買うような男に、そんなことが復讐になるのかな?と思いましたが、ティアゴは大変なショックを受け、よろよろと自宅に歩きます。キリスト教社会では、天国に行くためには近親相姦はご法度なのでしょうか? それ以前に他の罪で天国に行けないように思いますが・・・。
自宅に到着したティアゴは、セリーナが盲目の青年とセックスしているのを目撃し、思わず「俺の子供から離れろ!」と叫んでしまいました。セリーヌは、盲目の青年のことを「俺の子供」と呼んだと思い、「彼はあなたの子供じゃない」などと言い返します。そして、セリーヌは手元にあったナタでティアゴを刺し殺します。ティアゴは、セリーヌに何か言おうとしますが、そのまま絶命してしまいました。
2人は、ティアゴが蓄財したドル札と金のインゴットを持ち出し、家を焼いて森を出ました。森を出たところで、セリーナは、ドル札とインゴットを2等分して、半分を盲目の青年に渡します。青年は、一緒に逃げようと言いますが、彼女は冷たく拒絶します。運命にただ流されるだけの男は、邪魔にしかならないと思ったのでしょう。2人の前を、家財を持って逃げ出す住人たちが慌ただしく通り過ぎます。そしてエンディングです。
父の復讐のくだりは、「なんじゃそりゃ」と思いましたが、金が全てだと言って残忍さをアピールしていた男が篭絡され、泣き叫んでいた女がむしろ支配する側になっていく展開が面白く、ただ従属するだけの盲目の青年や、泣き叫ぶことしかしない前に買われた女との対比も冴えていました。主演の女優さんは、美人ではありませんが、凌辱されたときの泣き崩れていたのが、少しずつ変化して、むしろ快楽を与える主導権をもった側に変わっていく演技も冴えていました。さすが、VIVA Filmsでたくさん主演をはっている女優さんですね。役どころがよくわかっています。
「セリーナ 淫らな奉仕」の監督、出演者情報
本作の監督をつとめたMac Alejandreさんは、もともと映画やテレビでラブロマンスやコメディを撮っていた監督さんですが、近年はセクシー系映画ばかり撮っています。さすがに、ベテランだけあって、セクシー系映画を撮っても新人監督さんとは、レベルが違いますね。
主演女優のAngeli Khangは、私が「被虐の女王」と呼んでいる女優さんで、酷い目に遭うことが似合う女優さんです。今回は自分にあった役を演じて、存在感を示しましたね。たくさん見ているうちにわかってきたことですが、彼女自身が頭が良く、シーンごとの役割を理解しているなと思いました。監督に好まれる女優でしょう。
「セリーナ 淫らな奉仕」の作品情報
オリジナルタイトル:Selina’s Gold
公開年 2022年
監督 Mac Alejandre(高級娼婦)(シェイム-裸の復讐-)
主なキャスト Angeli Khang(狙われた若妻 義弟の視線)(ヴァージンフォレスト 愛欲の奴隷)(愛欲の流刑地)(シェイム-裸の復讐-)
Gold Aceron
Jay Manalo(コールガール 欲望の餌食)(スパイダー・ボーイ ゴキブリンの逆襲)
視聴可能メディア U-NEXT(見放題)(日本語字幕)

