離れ離れに生きてきた4つ子の葛藤を1人4役で描く怪作「Girl, boy, bakla, tomboy」

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私は、タガログ語をアプリで2年、オンライン会話で半年学習したので、ある程度、タガログ語の語彙もあるのですが、フィリピン映画を見るようになって覚えた言葉もあります。その代表が「Bakla(おかま)」です。英語字幕なので「Gay」と字幕にはなっていますが、あまりに頻繁に使われる言葉なので、自然にGay=Baklaであることがわかりましたよ。さて、本作ですが、トンデモない快作です。4つ子が誕生し、それぞれが男、女、ゲイ、レズビアンに成長するという設定も相当ですが、その4人を1人の俳優が演じるというクレイジーな作品です。演じる俳優は、フィリピンを代表する喜劇役者、ヴァイス・ガンダさんです。彼ありきの作品でした。当然、コメディですが、フィリピンらしく、それなりに家族ドラマとしても成立しています。

(Photo cited from IMDb)

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「Girl, boy, bakla, tomboy」のストーリー

4つ子の出産シーンから始まります。驚くべきことに、出産後すぐに、子供のうち2人が、祖母によって連れ去られ、子供たちは2人が母側のフィリピンで、2人が夫側のアメリカで育つことになります。祖母は、母親が浮気していると吹き込み、自分の母に言いなりの父親は、その後、残りの2人の兄弟のことを知らせずに、2人の子供を育ててきました。母側も同様で、裏切った父親と連れ去られた子供たちのことを知らせず、こちらも2人の双子兄弟として育ちます。

さて、4人の双子について整理すると、フィリピン側に、ゲイ(マーク)、おなべ(パニヤン)がおり、アメリカ側に男の子(ピーター)、女の子(ジリル)がおります。フィリピン側に偏りが強いですね・・・。フィリピン側は、貧しい子供時代を送り、アメリカ側は裕福な子供時代を送りました。そのため、ジリルのワガママぶりはかなり酷いことになっています。

物語が動き出すのは、ピーターがC型肝炎であることが判明し、生体肝移植しか生き延びる方法がないことがわかったためです。家族でドナーの適合を調べましたが、適合する者は見つかりませんでした。そこで、父親はフィリピンにもう2人の兄弟がいることを告げ、父と2人の子供がフィリピンに行くこととなりました。

フィリピンでの4つ子の出会いは最悪なかたちで起こりました。マークが、デパートで万引きして逃げたところを、同じ顔をしたジリルが捕まって、留置所に入れられてします。駆け付けた父親と、既に再開した他のメンバーが駆け付け、ジリルは釈放されましたが、ここからマークとジリルの関係は険悪なものとなりました。そもそも、貧乏で育ったゲイと甘やかされた女ですから、上手くいくはずもありません。

その後、マークの肝臓だけがピーターに適合することがわかったのですが、マークは、なぜ裕福に育った人のために、貧しい自分たちが臓器まで提供しなければならないのかと憤ります。また、ジリルのフィリピンをバカにした態度も癇に障ります。

とは言え、母などの説得により、マークは臓器の提供には同意するのですが、その代わりに、ジリルにフィリピン文化を理解してもらうという条件を出し、田んぼでカエルを捕まえさせたり、水牛で田起こしをさせます。ジリルは、肝移植が終わったら復讐すると憤りますが、当事者のピーターがなだめます。なんとか、肝移植を終えたところで、ジリルの復讐が始まるのですが、何だかんだと2人は仲直りしました。

(ネタバレ)ところが、ジリルの態度が悪かったのは、アメリカにいる父の恋人から、父と母の離婚手続きも行ってくるようにとミッションを受けていたからだったことが判明します。実の母側に寝返ったジリルに、業を煮やした婚約者は、フィリピンに乗り込んできます。すっかり実の母の愛に感化されたピーターとジリルは、父の婚約者に困惑しますが、結局、アメリカの婚約者の存在に怒った母は、離婚(アナルメント)の書類にサインしてしまいます。父と婚約者、ピーターとジリルは、アメリカに帰ることとなりました。しかし、すでに4つ子の絆ができており、アメリカの2人の子供がフィリピンに帰って、実の母と一緒に住みたいと感じています。それが気に障ったのでしょう。父と婚約者の関係も悪化し、結局2人は破局してしまいます。4人の子供は、父と母を仲直りさせるために、案を練り、マークが死んだことにして、父をフィリピンに呼び出すことにしました。葬儀のバカ騒ぎのあと、父と母が仲直りして、4人の子供もそれぞれパートナーができて、大団円となりました。

4人の子供ですが、1人は肝臓の病気なので活躍が少ないのはしょうがないのですが、おなべのパニヤンの出番が極めて少なく、バランスを欠いておりました。ヴァイス・ガンダさんは、やはり女性かゲイの役を演じると生き生きしますし、男がおなべを演じるのは難しかったのでしょう。とは言え、対立すると、ゲイと女というのは理解できるので、ヴァイス・ガンダさんに合った脚本だったと思います。1人が4つ子を演じるという狂気の演出でしたが、見事に成立しており、ヴァイス・ガンダさんの良さが出ていたので、ヴァイス・ガンダ映画の代表作と言われるのも納得の作品でした。

「Girl, boy, bakla, tomboy」の監督情報

本作の監督をつとめたWenn V. Deramasさんは、初期のヴァイス・ガンダ映画を作った名監督です。私は、本作が初めてですが、やっぱり良いですね。得意のコメディ以外でも「生き人形マリア」のような名作ホラーが撮れる人なので、才能豊かな人だったのだろうと思います。残念ながら2016年に50歳という若さでこの世を去っています。

「Girl, boy, bakla, tomboy」の作品情報

オリジナルタイトル:Girl, boy, bakla, tomboy

公開年 2013年

監督 Wenn V. Deramas(生き人形マリア

主なキャスト Vice Ganda(ホゴシャはつらいよ!)(Patners in Crime)(そして大黒柱は…)(Call Me Mother

Maricel Soriano(Meet, Greet & Bye

Joey Marquez(バトル・オブ・モンスターズ)(元カレと解けない恋の疑問

視聴可能メディア Youtube(英語字幕)

「Girl, boy, bakla, tomboy」のトレイラー

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