フィリピン映画の歴代共興収入のトップは、ほとんど同じ監督さんの作品によって占められており、それがCathy Garcia-Sampana監督です。彼女は、圧倒的なフィリピン映画界のヒットメーカーです。その割には、当サイトでそんなには紹介されていないのは、彼女の作品のほとんどが恋愛ドラマだからです。その恋愛ドラマを得意とする監督さんが、涙涙の家族ドラマを撮ったのが本作品です。やっぱり上手いですね。伏線の貼り方、絶妙なタイミングでの伏線の回収、それによって家族の関係が頂点に達したと思えば突き落とされ、そこから泣けるドラマが展開して復活したりと、観客を揺さぶってきます。監督の作品は、あまり日本語字幕付きで紹介されたことがないのが残念ですが、知られるようになれば、日本でも非常に好意的に受け止められる作品だと思います。

(Photo cited from IMDb)
「Meet, Greet & Bye」のストーリー
次男は、全然大学生には見えないのですが、次男の大学の卒業式から始まります。のちに、次男はニュージーランドで働くのを諦めて、母のレチョン屋さんを手伝い始めたというセリフがあるので、おそらく年を取って大学に復帰し、卒業したのでしょう。その晴れ舞台に、家族が集まります。ところが、次男が遅刻したため、代わりに母親が壇上に登ることとなり、そこで母親が倒れてしまいました。
運ばれた病院で、検査が行われ、母親の癌が再発したことがわかりました。母親は、ステージ4の癌であり、化学療法を受けることを拒みます。というのも、1回目の癌のときに受けた化学療法がきつかったので、もう自然に任せたいと考えたのです。当然ですが、子供たちは母親に治療を受けてもらいたいのですが、意見は2つにわかれます。今回の卒業式にあわせて帰国した長男は、LAでレストランを経営しています。彼と3男は、母に化学療法を受けさせる説得しようと考えます。一方で、母と一緒に働いている次男と、長男の娘は、母の気持ちを尊重して代替医療を進める考えです。次男は、「それが合理的だから」と言って母親に化学療法を勧めようとする長男にいきり立ちます。
長男らの提案に対して、拒否を示していた母親ですが、好きな韓国歌手のコンサートにVIP席で行けるならば、化学療法を受けるという約束をします。長男らは、まずオンラインでチケットを取りに行くのですが、まったく勝負になりません。やむなく、チケットを取れた人から1枚5万ペソで買うことにしたのですが、それは詐欺しで、お金だけ騙し取られてしまいました。
一方、次男らは、ハーブ治療の専門家を訪れ、ハーブ薬を手に入れるのですが、母親が強烈な頭痛発作に苦しんでいるとき、そんなものでは歯が立たないことを実感し、立ち消えになってしまいました。
そこで、兄弟たちは力をあわせて、チケットを手に入れる最後のチャンス、店頭販売のために徹夜して並びます。この時点で、長男と次男のわだかまりはすっかり解けていました。ところが、行列に割り込む人たちと喧嘩になってしまい、喧嘩両成敗でチケットを買うチャンスを失ってしまいました。
もう1度、兄弟らは代替医療にすがろうとするところで、長男のレストランには借金があることが、発覚します。長男は、母親にお金を借りるために帰国したところで、今回の病気騒ぎとなってしまったのです。この時点で、長男はアメリカの自宅を売り、借金を返して帰国することを決意していたのですが、次男は長男に怒りをぶつけます。というのも、次男は母が最初に癌になったときに、自分の仕事を優先したことを根にもっていたのです。その時、次男なニュージーランドで働く夢を諦め、母のレチョン屋さんを手伝うことにしたのです。とは言え、お互いに自分の置かれた立場で、母のために取った行動であり、最終的にはお互いを理解することができ、再び仲直りとなりました。
(ネタバレ)この2人の仲直りに、母親は感動し、ついに化学療法を受けることを決意します。そこからは辛く厳しい治療が続きます。日に日に弱っていく母親をケアする子供たち、本当にこの選択が正しかったのかと悩む子供たちが丁寧に描かれます。タイトルにも「Bye」がついていますから、最後は母親の死で終わるのだろうなと覚悟したところで、母が回復しました。その後、回復祝いに、家族みんなでビーチリゾートを訪れます。盛り上がる子供たちを遠い目で眺めていたところ、お気に入りの韓国歌手たちが、そこで休暇を取っていることを知り、母親は満面の笑みです。そしてエンディングです。
卒業式での家族再会、母の病気、長男と次男の仲たがい、そして和解。と思いきや再び仲たがいして和解。そこから母が治療を前向きに受けることを決意するものの、母が衰弱するシーンが丁寧に描かれ、最後はハッピーエンドと、完ぺきなプロットでした。そこに、3男が恋人と結婚することを決意する流れと、次男の元恋人が海外から帰ってくる設定も織り交ぜ、非常に多層的なドラマとなっていました。そして、後半泣けて、ハッピーエンドという非常に「上手い」ドラマでした。No.1ヒットメーカーの称号は伊達ではないなと改めて思いました。
「Meet, Greet & Bye」の監督、出演者情報
本作の監督をつとめたCathy Garcia-Sampanaさんは、冒頭でも紹介したようにフィリピン映画界の圧倒的No.1ヒットメーカーです。おそらくですが、生涯の作品共興収入は、2位の監督さん(誰かわかりませんが)10倍は引き離していると思います。久しぶりに彼女の作品を見ましたが、やっぱりいいですね。ドラマの中核を担った長男と次男は、フィリピンでも人気の実力派イケメン俳優です。このキャスティングも盤石でした。
「Meet, Greet & Bye」の作品情報
オリジナルタイトル:Meet, Greet & Bye
公開年 2025年
監督 Cathy Garcia-Sampana(Hello, Love, Goodbye)(ハロー、ラブ、アゲイン)(元カレと解けない恋の疑問)(The Hows of Us)(Love at First Stream)(Patners in Crime)(The Hows of Us)
主なキャスト Maricel Soriano
Piolo Pascual(Moro)(牢獄処刑人)(僕のアマンダ)(The Ride)(Manila’s Finest)(もう一度あなたと)(The Kingdom)
Joshua Garcia(愛して星に)(Block Z)(Un/Happy for You)(Fruitcake)
視聴可能メディア Netflix(英語字幕)

