教員の待遇改善運動の中で亡くなった実在の女性教師の物語「Mila」

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表題は巨大映画サイトのIMDbを要約したもので、おそらく制作者から提供されたものだと思いますが、半分本当で、半分嘘の説明です。というのも、主人公の女性教員は、教員の待遇改善を訴えるストライキに参加してはいたのですが、それで弾圧の末、殉死したということはありません。むしろ、路上に出たことで、教育を受けていない人たちと出会うことになり、自分のやっているストライキの意味や、学校教育に対して自信が持てなくなり、迷走の末、肺炎をこじらせなくなってしまう物語です。ヒロイックな物語ではなく、むしろ迷いに迷った末、亡くなってしまった姿に、周囲の人が心を打たれる様子が描かれ、より深い作品となっていました。しかし、途上国では一般的に教員の給料は、他の職業よりも高いのが普通で、実際、今のフィリピンもそうなのですが、かつては、ウエイターや掃除夫よりも低い時代があったというのは意外な感じがしました。

(Photo cited from IMDb)

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「Mila」のストーリー

小学校の先生(ミラ)が主人公です。同僚がゲイであることが発覚し、校長先生が男の恋人と別れなければ解雇すると、同僚に迫るのをかばうシーンが描かれ、リベラルな考え方を持っていることがわかります。また、落第を繰り返している生徒に、熱心に個人指導をするなど、教育に情熱を持っています。また、夫はギャンブラーのろくでなしで、暴力まで振るうので、ついにミラは夫の元を去り、一人暮らしを始めます。

当時のコラソン・C・アキノ政権時代、教員の給与水準は、掃除夫やウエイターよりも低かったとのことで、教員たちはハンガーストライキに打って出ることとなりました。校長先生なのか、教育省の偉い人なのかは、教員に対して徹底抗戦の構えで、ついに長期間のストライキに突入します。

そんな中で、ミラは若い男(プリモ)と出会い、すぐに恋人関係となり、一緒に住むことになりました。当初、2人の仲はむつまじかったのですが、後にプリモがドラッグ中毒であることが判明します。当初は、何とか更生に向けて助けていたのですが、盗みを繰り返すようになり、リハビリ施設に入るか、別れるかを突きつけます。リハビリ施設に行くためか、そんなことは無理と思ったのかわかりませんが、プリモは去りました。

その後、ミラはますますストライキにのめり込むようになりますが、路上で物を売ったり、売春している子供たちと出会います。徐々に仲良くなる中で、彼らが教育から取り残されていることを知り、ストライキの場所を離れ、彼らに算数や英語を教えるようになります。

ある日、ショッキングなことがありました。子供たちの1人の女の子が、アメリカ人に迫られており。ミラが、「相手は未成年だぞ。これがどういう意味かわかるな」と言って追い払ったところ、女の子の母親が怒鳴り込んできました。と言うのは、母親はアメリカ人が娘に手を出そうとしているのを知っており、しばらく待てば娘をレイプするだろうから、そこでお金を巻き上げようと思っていたというのです。あまりの考え方の違いに、ミラは驚きます。また、売春をして稼いでいた女が、どういう理由かわかりませんが遺体で発見されました。

(ネタバレ)その頃から、ミラは咳をするようになります。また、貧民街に警察の手入れが入り、彼らは田舎に帰ることとなりました。その頃には、怒鳴り込んだ母親もミラに謝罪して、誰もがミラと別れることを惜しみます。ミラは、情熱を傾ける対象を失ったからなのか、ますます病態が悪くなります。そして、ある日の朝、路上でなくなっているところが発見されました。

ミラの葬儀は大々的に執り行われ、ミラが学校で支えた少女、貧民街の子供たちが、葬儀の場でスピーチして、大衆の涙を誘います。また、ミラが貧民街の子供を教えていたことが大々的にプロモーションされます。やがて、このムーブメントに抗えなくなり、政府も教員の待遇改善を認めることとなりました。そしてエンディングです。

ミラが、ストライキの先陣を切る闘士ではなく、夫を失い、恋人を失い、生徒を失い、路上の子供たちを失って彷徨った果てに病死する実物大の女性であったのが良かったと思います。

「Mila」の監督、出演者情報

本作の監督をつとめたJoel Lamanganさんは、大ベテランの監督さんで、テレビと映画の監督作品で、およそ150本の作品を残しています。おそらく中国系フィリピン人の生活を描いた「Mano po」シリーズが最も有名な作品だと思います。まだ1本も見れていないので見ていきたいですね。

ミラを演じたMaricel Sorianoさんは、最近の作品で初老の女性を演じている女優さんです。本作は25年前の作品ですが、あまりに容姿が変わり過ぎていて驚きます。ドラッグ中毒のダメ男を演じたのは、若き日のPiolo Pascualさんです。今でこそ大スターですが、その頃はどこにでもいる駆け出し俳優のような演技をしていたのですね。貧民街の子供たちを演じた中に、大スターのAngelica Panganibanさんや、個性派女優のKaye Abadさんがいます。Kaye Abadさんだけが、その頃の美しさを維持しており、時の流れの残酷さを感じさせます。

「Mila」の作品情報

オリジナルタイトル:Mila

公開年 2001年

監督 Joel Lamangan(Oras de Peligro)(One More Rainbow

主なキャスト Maricel Soriano(Girl, boy, bakla, tomboy)(Meet, Greet & Bye)(T2

Piolo Pascual(Moro)(牢獄処刑人)(僕のアマンダ)(The Ride)(Manila’s Finest)(もう一度あなたと)(The Kingdom)(Meet, Greet & Bye)(GomBurZa)(Last Night)(Dekada ’70

Kaye Abad(旅の先に)(ConMom

視聴可能メディア Youtube(英語字幕)

「Mila」のトレイラー

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