
本作はフィクションではありますが、ドゥテルテ大統領時代の麻薬戦争がどんなものであったかが良くわかります。お話としては、主人公が麻薬戦争に取り組む警察官の中にいながら、不正を働くというものなのです。しかし、本編を見てもらえればわかるのですが、フィリピン警察が全面協力してくれています。警察としては、多少は不正はあっても、麻薬戦争に対して誠実に、真剣に取り組んだということがアピールできれば良いのでしょうか?この辺の感覚が相変わらずゆるいですね。本作は、日本国内、海外ともに評価の高い作品で、フィリピン映画ファン以外にもお勧めできる映画です。
「アルファ、殺しの権利」のストーリー
主人公は、警察官の班長。麻薬販売組織のアジトを突き止め、襲撃計画を立案します。そのシーンがすごくて、警察署の中の会議なのに、武装したSWATが会議室の中で参加者を取り囲んでいます。いつもこんな感じなんでしょうか?計画通り、アジトを急襲し、ボスを含めて10人を射殺します。しかし、手下たちはなぜ普通の拳銃で応戦してしまうのでしょうか?重武装したSWATに勝てるはずもなく、次々と射殺されていきます。そもそもフィリピンでは、裁判になれば死刑はないというのに・・・。あらかたギャングが殺されたか、投降して現場が騒然としているところで、主人公は、ボスが射殺された現場から、バッグを盗み、現金と麻薬をネコババしてしまいます。そのバッグの受け渡し方法を見ていると、計画されたように見えますが、ボスがアジトから逃げる前に、すぐに射殺されていたらバッグは奪えませんし、たまたま盗める場所で死んでくれたという感じでしょうか?その後、自分の手下を使って麻薬を現金化したりする主人公ですが、その後いったい何か起こるのか・・・それは見てのお楽しみです。
映画中では、街中で頻繁に麻薬検問があり、主人公の手下が麻薬を運ぶために、鳩を使ったり、赤ちゃんのおむつに忍ばせたりと、様々な方法を使います。警察も本気でしたが、売人たちもたくましいなと思いました。警察の本気と言えば、印象深かったのが警察署長の言葉で、ボスのバックが盗まれたことに気づいて「これを盗んだのが身内だったら、俺がそいつを殺す」と言い放ったのには痺れました。フィリピンで警察のトップを務めるような人は、法の番人というより、法を超える人でなければならず、これくらい言えないと務まらないんでしょうね。
「アルファ、殺しの権利」の監督情報
本作の監督を務めたBrillante Mendozaは、フィリピン映画界の巨匠。フィリピン人監督としては異例なことに、カンヌやベルリンの国際のコンペティション部門の常連で、2009年にはカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞したこともあります。おいおいBrillante Mendozaの作品は、当ブログでも紹介したいと思います。
「アルファ、殺しの権利」の作品情報
オリジナルタイトル:Alpha: The Right to Kill
公開年 2018年
監督 Brillante Mendoza(GENSAN PUNCH)(ローサは密告された)(Feast-狂宴-)(リプレイス 絡みあう欲望)(囚われ人 パラワン島観光客21人誘拐事件)(ヴァージンフォレスト 愛欲の奴隷)(あの夏の欲望)(ミンダナオ)
主なキャスト Allen Dizon(Oras de Peligro)(ミンダナオ)
Elijah Filamor
Apollo Abraham
視聴可能メディア U-NEXT、Amazon Prime Video(見放題)(日本語字幕)
DMM TV、Rakuten TV、Lemino(レンタル)