私は、今もオンライン英会話を毎日やっており、時々、講師の先生におすすめフィリピン映画を聞くのですが、本作は講師のおすすめ映画の1つです。本作は続編で、前作「Feng Shui」から10年後に、本作が公開となりました。劇中の時間もちょうど10年経っています。本当は前作から見たかったのですが、YoutubeやiWantTFCなどのサイトで、前作は無料公開されているのですが、いずれも英語字幕がありませんでした。前作はかなり古い作品なので、今から英語字幕入りで再公開されるとは思えず、われわれ外国人は続編の本作だけを見るしかなさそうです。内容としては、文化大革命で呪われた八卦鏡がフィリピンに持ち込まれ、所有者にほんの少しの幸運と多くの不幸をもたらすという物語です。フィリピン映画らしく、どうすればこの呪いから逃れられるのかというゴールポストが動きまくるので、一体どこに向かって進んでいるのかわからなくなってしまいます。タイトルの「Feng Shui」は「風水」の意味です。

(Photo cited from wynnes world)
「Feng Shui 2」のストーリー
最初のシーンが白黒映像から始まります。おそらく前作のハイライトでしょう。家族がたくさん死ぬシーンが描かれます。カラーになったところで、中年の女が墓に花をささげています。彼女が、前作の生き残りなのでしょう。また、家族が殺されるシーンになりました。女は現場から逃げようとして、高層ビルから転落して死にました。現場には八卦鏡が落ちていましたが、謎めいた白い服の男に持ちされました。
ようやく本作の主人公の登場です。男(レスター)は、アル中の母と一緒にスラムのようなところに住んでいます。このスラムは、いわゆる水上村でした。タイやカンボジアでは水上村は、有名な観光地ですが、フィリピンにもこんなところがあるんですね。父は、海外に出稼ぎに出ているようですが、この5年便りもよこさないようです。しかし、母は、父の「家を買ってやる」という言葉を信じています。
レスターは中国寺院に忍び込み、八卦鏡を盗みます。その鏡を売って金を手にしました。その後、家に戻ろうとすると、自分のバイクがスラムのボスに押収されていました。どうやら借金があるのか、お金を上納しないといけないようです。ちょうど盗んだ鏡を売ったお金があったので、バイクを持っていかれずに済みました。ボスの手下たちは「お前はついている」と言います。ボスの組織のナンバー2みたいな男は、レスターに反感を持っているようで、最後までバイクを持ち去ることを主張していました。
家に帰ると、売ったはずの八卦鏡が家に掛かっていました。すると、5年間音沙汰がなかった父が家に帰宅していました。父はクエートで財を成したとのことで、一軒家を買ったから引っ越しをしようと提案します。翌日には一家3人で新居に引っ越ししました。父はクエートで道教にはまっており、自分はウサギ年なので象のお守りが、自分を守ってくれると語ります。母はネズミ年だとのことでした。
その夜、3人でちょっとしたパーティをしていたのですが、アル中の母はこっそり酒を飲もうと部屋を離れます。母は隠してあった酒をみつけ飲んでいたのですが、レスターと父が発見したときには、母は殺鼠剤を飲んでいました。母は口から血を吐きながら走り出し、外に飛び出して死んでしまいました。
どうやら鏡が怪しいと感じたレスターは、中国人の祈祷師にお祓いを頼みます。その時には、新居はたくさんの亡霊に占められていましたが、祈祷師は果敢に家にひとりで入り、失神して助けられました。中国人らは、この件から手を引くといって逃げていきました。
やむなく、レスターは鏡を自分で破壊します。ちょうどそんなときに、不動産屋の社員が家を訪れました。それが最初のシーンで登場した女(ジョイ)、つまり前作の主人公です。ジョイは鏡を見て驚き、しどろもどろに逃げ出します。最後に、彼女は「幸運を拒否しなさい」と、レスターに助言します。レスターは、ふと家を見上げると、割ったはずの鏡は元に戻って据え付けられていました。
なぜか、スラムのボスが死んだことが知らされます。レスターは祈祷師の元を再び訪れると、祈祷師の息子が「鏡を見てはいけない。自分はそれだけ教えられた」と伝えます。どうやら、最初に鏡を見たものに幸運が訪れ、その後鏡を見た者は死ぬというのです。
その後、家に帰宅すると、自分に反感を持っていたスラム街のナンバー2が、レスターを殺そうと家に忍び込んでいました。亡霊が何度もあらわれ、家にいた父と彼を惑わし、結局2人ともが死ぬことになってしまいました。
(ネタバレ)ジョイの元にも気怪奇現象が起こりようになりました。ジョイは、おそらく前作の協力者の中国人老師を訪ねます。老師は、現在の鏡の所有者が協力して鏡を壊さなければならないと、本作のゴールをようやく提示します。彼によれば、十二支の数だけ所有者が増えることができます。ジョイは、レスターの元に鏡があったことを思い出し、彼ともう1人の所有者(リリー)と合流します。リリーは、レスターの父をクエートで雇用していた社長さんでした。レスターは戌年で、戌年で鏡を見たものとしては最初の人間だったので所有者となり、幸運が訪れているとのことです。その割には大した幸運が訪れず、もう両親を亡くしているんですが・・・。
老師は、3人の所有者の家のどこかに鏡があるので、一緒に壊しにいこうと提案します。まずはレスターの家にいきましたが、鏡はありません。次にリリーの家に行きますが、リリーもないと言います。そして、ジョイの家に行こうとしますが、リリーはあとで追いかけると言って同行しません。結局、ジョイの家にも鏡はありませんでした。実は、鏡はリリーの家にあったのです。彼女は、この機に幸運を手に入れようと、女中と家の庭を掘り起こします。リリーらは庭からたくさんの金を掘り出しました。しかし、亡霊があらわれ、結局は死んでしまいました。いったい、どういうルールなのでしょうか?
レスターは1人バイクでリリーの家を目指しますが、途中で死にかけの男に出くわします。彼は、レスターに袋を託し、「中の本を燃やしてくれ、さもないとたくさんの人が死ぬ」と残して死んでしまいました。袋を持ち帰り、中身を確認したところ大量のドル札が入っていました。レスターは怒ります。「こんな幸運をどうやって避けることができるんだ」と。
老師がリリーの死を悟り、3人は、次の鏡の異動先を探します。ジョイの家を探すと、いきなりレスターが撃たれました。ジョイの家には、彼女の彼氏が、「結婚してください」という垂れ幕を用意して、ジョイを待っていたのです。そこに見知らぬ男が入っていたので思わず撃ってしまったとのことでした。老師は言います。「幸運を受け入れてはいけない」と。ジョイは返事を保留します。ともかく、鏡を確保し、布で覆って、寺院で破壊しようと言うことになりました。ところが、ジョイの彼氏が運転する車が事故を起こし、人々と乱闘になってしまいました。その際に、車のドアをあけて鏡を盗もうとする男がおり、布がはだけた際に老師は鏡を見てしまいました。その後、老師はあっさり刺し殺されます。老師は、息が残っているあいだに、レスターとジョイに、鏡を寺院まで持っていき割るように指示します。彼らは、なんとか寺院まで辿り着き、鏡を割ることに成功しました。しかし、その時にはすでにレスターは息絶えていました。ひとり生き残ったジョイに元に、彼氏がたどり着き、声をかけます。その後ろには多くの警察官が見えます。そこでエンディングです。
おそらく、前作では幸運を望まないことで呪いを避けられたのでしょう。しかし、本作ではそれに加えて、所有者全員で鏡を破壊しなければならないという新ルールが追加されていました。2つの守らなければならないルールがあることをが、もっとはっきり示されていれば良いのですが、曖昧なので、見ている人は何に注目して見れば良いかわからないままでした。また、幸運を望んではいけないと言うルールも曖昧で、リリーのように明らかに金を求めればわかりやすいのですが、レスターが何を望んだのかもわかりません。また、呪いで死ぬのは鏡を見た人なはずですが、明らかに鏡を見たというシーンの無い人たちがたくさん死んでしまいます。フィリピン映画あるあるですが、限界設定があいまいで、視聴者にスリルを与えることに失敗しているように思いました。その代わり、どこに向かっているのかわからないという緊張感はあります。
「Feng Shui 2」の監督、出演者情報
本作の監督をつとめたChito S. Roñoさんは、多くの作品を制作していますが、正直なところヒット作と呼べるものはあまりなく、本作のシリーズが最大のヒット作だと思われます。主にホラー作品を撮っている監督さんです。主演のCoco Martinは、多くの作品に出演しているフィリピンでもトップ俳優です。また、前作から引き続き主人公をつとめたKris Aquinoさんは、前マルコスに暗殺されたと言われるニノイ・アキノと、その後大統領をつとめたコラソン・アキノの娘です。正直、本作では普通の中年おばさんでしたが、若かったころは美しかったのでしょうか?
「Feng Shui 2」の作品情報
オリジナルタイトル:Feng Shui 2
公開年 2014年
監督 Chito S. Roño(Scarecrow)
主なキャスト Kris Aquino(All You Need Is Pag-ibig)
Coco Martin(サービス)(Red/Pula)(Love or Money)(You’re My Boss)(キナタイ -マニラ・アンダーグラウンド-)
Joonee Gamboa
視聴可能メディア Youtube(英語字幕)
「Feng Shui 2」のトレイラー
トレイラーがYoutubeになかったので、本編映像の方を貼りました。