ブリランテ・メンドーサ監督の最新作がNetflixで見れる「Red/Pula」

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フィリピン映画界の巨匠ブリランテ・メンドーサ監督の中期の有名作品は、U-NEXTやAmazon Prime Videoではいくつか見ることができますが、最近ではNetflixとの関係を強めているようです。最近の映画「Apag(2022)」「Moro(2023)」そして本作「Red(2024)」がNetflixで見ることができます。しかも、本作はNetflix独占タイトルです。メンドーサ監督とNetflixの関係と言えば、フィリピン麻薬戦争についてのドラマシリーズ「Amo」に対してもNetflixが多額の出資をしたことが(フィリピン映画の愛好家の中ではですが・・・)大きな話題になっていましたね。「Amo」には日本語字幕が付けれるのですが、残念ながら本作の「Red」は英語字幕だけになっています。Netflix独占映画は、日本語字幕が付くイメージでしたが、映画の3本には日本語字幕がついておりません。どうしてなのでしょうか?

本作はひとことで言えば、「スリラーに見せかけたホラー映画」です。最初にホラー映画であることがはっきりと暗示されているのですが、その後、最初のシーンがなかったかのように普通の生活が描かれ、不倫だなんだと日常的なドラマから殺人事件へと至るので、「あれ?この人は何を考えているんだろう?」と混乱させてきます。おそらく、そうした混乱を狙った映画なんじゃないかと思います。

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「Red」のストーリー

映画は印象的なシーンから始まります。若い女性が抑え込まれ、老婆が小さな聖書をかざして「去れ、悪魔よ」と叫びます。そして、女性が気を失ったところで「彼女とボーイフレンドをはやく結婚させなさい。そうしないと完全には悪霊は払えない」と言います。ここが巧みなところだと思いますが、本当に悪魔付きだったのか、あるいは単に神病の女性に対して、伝統的な治療をほどこしているのか、はっきりしないまま進行します。なので、視聴者はこれがホラー映画である可能性を忘れてしまいます。

そういう私も、この時点では「メンドーサ監督の最新作は、精神病者に悪魔祓いをする田舎の人々の話か、いかにもメンドーサ監督らしいテーマだな」と思っておりました。しかし、その後まったく何事もなかったかのように、村の日常が描かれます。例の若い女性は、ときどきボーイフレンドと外でセックスを楽しんでおりますし、主人公らしい警察官(ダニーロ)は村をバイクでパトロールしたり、子供と遊んだりしています。やがて、視聴者にはダニーロの奥さんが、夫の上司と不倫していることがわかります。フィリピン映画では定番のシーンですが、夫が妻の身体を求めたところ、妻が「そんな気分じゃない」と拒否します。すると男は「妊娠したのか?」と聞き返します。フィリピン女性は、妊娠したことを直接言わず、こうやって表現するのが普通なのでしょうか? しかも、この子供は上司とのあいだにできたようです。妊娠したものですから、妻と上司が会うシーンも増え、やがてダニーロも不信に思うようになります。そこで、ダニーロは上司の家に潜入し、妻との浮気の決定的な証拠を発見します。

ダニーロの物語と同時に、例の女性(マグダ)の物語も進行しています。最初は、ボーイフレンドとセックスしている程度でしたが、日曜の午後、教会でのミサの途中にこっそりと抜け出します。しかも、荷物をあらかじめ森に隠しており、その荷物を持ってどこかに向かいます。また、その日は日蝕のようなことが起きており、村人が不安がるシーンが描かれます。その後、マグダの家族は、ミサの途中でいなくなり、夜になっても帰ってこない娘を心配しています。しかし、普通にその部屋には彼女がいるのです。しかし、両親は気づかないようで、そのうち彼女の姿は消えてしまいました。

(そろそろネタバレ注意)その後、大変な目撃証言が警察にもたらされます。マグダはレイプされたのち殺されており、その犯人がダニーロだというのです。この件は内密に上司に報告されます。上司は、この件を不倫相手のダニーロの妻に報告。妻は激しく動揺します。また、ダニーロには裁判所から出頭命令が発行され、本人に手渡されます。ところが、ダニーロは「いったいなんだろう」程度の反応です。自分の妻の不倫のことで頭がいっぱいで、上司の家に潜入するのは、この手紙のシーンのあとのことです。怒り狂ったダニーロは、家に戻ったところで、マグダの霊と対面します。驚いたダニーロは、急に雰囲気画変わり、拳銃を握りしめ、警察署に向かい、片っ端から警察官を射殺、その後は村の人々、そして妻を射殺します。自分も返り討ちになり、ほうほうの体で誰かの墓にたどり着き、そこで絶命します。誰の墓かまではわかりませんでしたが、その墓の主が今回の悪霊騒ぎの元凶だったのでしょうね。

おそらくですが、不倫に対する復讐という理解をしてしまう、我々視聴者の思考を欺いてみたかったのでしょうね。最初にはっきり悪霊の物語であることを暗示していますし、ときどきいないはずの女が映ったり、不気味な日蝕のシーンが挿入されています。そこを見落としてしまうと、非常に不気味な事件が村に起こってしまったように見える。メンドーサ監督は、この映画を通して、世の中にある謎めいた事件が、悪霊のせいかもしれないよと伝えて、怖がらせたかったのかなと思いました。ちなみに、私はホラー映画はダメな人ですが、この作品はぜんぜん大丈夫でした。

「Red」の作品情報

オリジナルタイトル:Pula

公開年 2024年

監督 Brillante Mendoza(GENSAN PUNCH)(ローサは密告された)(Feast-狂宴-)(アルファ、殺しの権利)(リプレイス 絡みあう欲望)(囚われ人 パラワン島観光客21人誘拐事件)(あの夏の欲望)(ヴァージンフォレスト 愛欲の奴隷)(汝が子宮)(罠~被災地に生きる)(サービス)(ミンダナオ

主なキャスト Coco Martin(サービス

Julia Montes

Raymart Santiago

視聴可能メディア Netflix(英語字幕)

「Red」のトレイラー

さがしましたが、トレイラー映像はYoutubeなどにはないようです。Netflix独占タイトルだからでしょうか。

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