これは説明が難しい映画です。ブリランテ・メンドーサ監督は、ドキュメンタリー風に映画を作るのが得意な監督さんではありますが、他の映画には明確なテーマと、主人公らしき人の目的と行動があります。しかし、本作品にはそれらしきものがなく、ただポルノ映画館に出入りする人々を映し出しています。かといってつまらないことは全然ありません。場所が場所ですので、様々な人が、それぞれの目的を持って映画館を出入りしますし、フィリピンですから、大小さまざまなトラブルが起きます。そういう映画です。現在、日本の配信サービスでは見ることができず、Youtubeのみで見ることができます。しっかりしたところが配信しているように見えますが、それが権利者であるかは不明です。英語字幕のみでした。
ストーリー
ストーリーと言うものはありません。最序盤は、映画館を運営している家族が映し出され、徐々に映画館に出入りする人々が描かれます。日本のポルノ映画館もそうですが、ゲイのハッテン場になっており、ただのおじさんたちが通路にずらっと並んで、映画館の中に入ろうとするお客さんに「サービス」と言って、自分を買ってもらおうとしています。これがタイトルの由来ですね。フィリピンの田舎では、売り子が中に入って物を売るんですね。自分は、いろんな映画館に行きましたが、そんな人を見たことはありませんが・・・・。また、映画館で働いている若い男が、彼女を妊娠させてしまい、映画館の主のおばさんにこっぴどく叱られたり、やぎが映画館の中に入ってしまい、みんなで追いかけたりします。ヤギのシーンでわかったのですが、女のお客さんも多かったです。おそらくは売春しているのでしょうね。まあ、そんなだらしもないシーンを映し出す映画でした。
私は、大阪で成人映画館に行ったことがあります。たまたま仕事で空き時間ができて、近くの成人映画館があったので、これは面白い経験になると思って行ってみたのです。すると、客席の一番前列の左の席にで大きな女性が入ってきました。すると、次から次へとおじさんが、その大きな女性の横に座ってはひそひそと話をしては去り、次のおじさんがやってきます。たまに、一緒に外に出ていきます。「ははーん、これは売春だな」とは思ったのですが、自分がトイレにいったときに、大きな女性を見かけてびっくり。女装した大きなおじさんでした。さすがに、自分も前列に座って値段交渉をすることはできませんでしたが、本作品を見て大阪の経験を思い出しました。この映画では、女装もしてない普通のおじさんが「サービス」と言って立っていましたね。
私はマニラに住んでいたとき、けっこう本気で映画館を探しましたが、成人映画館を見つけることはできませんでした。それどころか、単館系映画館自体も、政府系のCinemateque Centerしかありませんでした。この映画は2008年公開のもので、結構古いので、その頃にはあったのでしょうね。場所もアンヘレスなので、米兵のためのポルノ映画館が、米軍撤退後にもフィリピン人向けのポルノ映画館としてギリギリ残っていたのでしょう。
監督、出演者情報
監督は巨匠ブリランテ・メンドーサ。ドキュメンタリー風の映画ですが、出演者は意外と豪華です。映画館の主を演じたGina Pareñoは、1963年から映画に出演している超大御所。本作で鉄面皮のおかあさんを演じたJaclyn Joseは、カンヌで主演女優賞を受賞した国際的女優です。また、若き日のCoco Martinは、彼女を妊娠させて叱り飛ばされる頼りない青年を演じています。
作品情報
オリジナルタイトル:Taklub
公開年 2015年
監督 Brillante Mendoza(GENSAN PUNCH)(ローサは密告された)(Feast-狂宴-)(アルファ、殺しの権利)(リプレイス 絡みあう欲望)(囚われ人 パラワン島観光客21人誘拐事件)(あの夏の欲望)(ヴァージンフォレスト 愛欲の奴隷)(汝が子宮)(罠~被災地に生きる)
主なキャスト Gina Pareño
Jaclyn Jose(ローサは密告された)(ハウスメイド 欲望のしもべ)(売られた女 セックスの代償)
Coco Martin
視聴可能メディア Youtube(英語字幕)