フィリピン映画で多いジャンルではありませんが、子育てを終えた母親の恋愛を描いたものがあります。この場合、いつも家族から大反対を受け、特に娘が強く反発します。母親には、ずっと母親でいて欲しいという気持ちがあるようで、恋愛にうつつをぬかす母親なんか見たくないと考えるようです。日本でも、シングルマザーの恋愛への風当たりが強いということはありますが、子供が成人していれば、まあ別にいいんじゃない?という感じじゃないでしょうか。本作は、熟年の母親が、大金持ちですが、変な韓国人との恋愛に浮かれることで、引き起こす母娘の葛藤をコメディとして描いたものです。母娘が主役ですが、変な韓国人が主役を食うほど怪演しているのも注目です。

(Photo cited from IMDb)
「Mommy Issues」のストーリー
女ばかり3代の家庭の物語です。娘には、ミュージシャンの恋人がおり、恋人が家を建てたことから、同棲することとなりました。しかし、母親が大反対で、母娘が大喧嘩になってしまいます。ほとんど喧嘩別れという感じで、娘は恋人のところに引っ越します。ちなみに、この恋人の主人公の家族も相当なお金持ちです。主人公の家には、プールがあるほどで、祖母は最初のシーンでLAに旅行に行っていました。
母が娘の同棲に大反対なのは、自分が娘の父親である男に、さっさと捨てられたからです。祖母と娘は美人なのですが、母は不美人で、そのため男に対して敵意をもっています。そのエネルギーを仕事にぶつけて、不動産業で高い地位を得たのです。
そんな母の会社が売り出した分譲住宅を買いたいと言う韓国人のお金持ちが来ました。彼はまだ若いのですが、韓国の大きなパン屋チェーンを経営しています。当初、母親の方が韓国人に、物件を売ろうと接待していたのですが、なぜか、この韓国人が母親にぞっこんになってしまいました。ちなみに、外国人はフィリピンでは土地付きの物件を買えないのですが、どうしてフィリピン映画では、その点は無視されているのでしょうか? 外国人の金持ちが土地や建物を買うシーンを良くみかけます。
分譲地を全部買ってくれるというので、母親はへんてこ韓国人のデートにイヤイヤ応じていたのですが、そのうち楽しくなってきて、結局一線を越えてしまいました。
それからの母親は、高校生のような浮かれ方になってしまいます。噂を聞いて確かめに来た娘は、すっかり乙女になった母親にドン引き、「男を殺してやりたい」とまで言います。なぜ、そこまで嫌悪して、男を殺してやりたいとまで思うのでしょうね? この点は、日本人には理解しずらいですね。
(ネタバレ)結局、娘と祖母が母親に話をしに行きました。ところが、母親が部屋から生々しい姿で出てきてます。驚いた娘は、そんな母親を非難しますが、母親は「自分も恋人の家で同棲しているのに、どこが違うのか?」「母親は恋愛したらいけないのか?」と反論します。ここのやり取りで、母親が「ディスコに行くのが悪いのか?」と言うと、娘が「今はクラブだ」と言い返すシーンがあるのですが、昔はディスコと言っていたのが、クラブに変わったのは、日本だけじゃないんですね。日本と全く同じやりとりを、フィリピンでもしていて、これにはウケました。
祖母は「韓国人とは結婚するのか?」と問い詰めると、母は「彼はまだ若いから・・・私は今が楽しければいいんだ。そうセフレの関係だ」と答えたので、娘は卒倒せんばかりでした。そして、娘は自分が家を出たことで、母親がおかしくなったと悩むようになります。それが、恋人との関係悪化にもつながってしまいます。結局、娘は実家に帰ることを決断しました。娘と恋人の関係は、先行きがわからなくなってしまいます。
「この韓国人と母親の関係はいったいどうなってしまうのだろう?」と心配していたところ、意外にも、韓国人は母親に真剣で、ここは無風のまま進みます。むしろ、娘と恋人のほうに焦点がうつります。恋人は、ヒロインの母親に相談し、母と祖母のおぜん立てにより、再会が演出されました。そこで、ひざまずいて指輪の入った箱を開けるというフィリピンスタイルのプロポーズを、娘が受けて大団円です。その横には、ちゃっかりと母と韓国人が寄り添っていました。
娘は、私がフィリピン人女優の中でも推している1人のSue Ramirezさんでした。しかし、完全に韓国人俳優の怪演が、主役の3人を食ってしまっていましちゃ。フィリピン人が求める変な外国人を演じることで、異国の芸能界で確固たる地位を確立するとは凄すぎです。
「Mommy Issues」の監督、出演者情報
本作の監督をつとめたJose Javier Reyesさんは、テレビも含めで監督作品が100本、脚本で参加した作品が200本を超える超ベテランですが、私は彼の作品を見るのは初めてです。あまりにフィリピン的なので、あまり海外に輸出されないのでしょう。私は、本作をみて、そんなに悪くないなと思ったので、もう少し見て判断したいと思っています。
出演者で注目すべきはSue Ramirezさんが出演していることです。彼女のフィリピンらしい容姿は、見ていて楽しいですね。また、韓国人俳優のRyan Bangさんも目立っていました。彼は、しょうもない韓国チンピラみたいな役で多くの作品に出演しているので、フィリピン映画を見る人ならば頻繁に見かけるでしょう。
「Mommy Issues」の作品情報
オリジナルタイトル:Mommy Issues
公開年 2021年
監督 Jose Javier Reyes
主なキャスト Pokwang(Oda sa wala)
Sue Ramirez(Love Lockdown)(デッド・キッズ)(母の面影が語ること)(ワン・ヒット・ワンダー 君を想う歌)
Ryan Bang
視聴可能メディア Netflix(英語字幕)

