首都警察と地方警察の権力争いにより、警察官としての矜持が失われていく「Manila’s Finest」

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本作は、2025年のMetro Manila Film Festivalで見た2本目の映画です。私はタイトルの「Finest」を「矜持」と訳しましたが、まさに誇りをもって働いていた警察官たちが、首都警察との権力争いに敗れて、ひとりまたひとりと、不正に対して声をあげなくなっていく様が描かれます。時代は1970年ごろの話で、地方警察が首都警察の傘下にはいり、統合されていくというのは実際にあったことなのでしょう。非常に骨太で面白い作品でしたが、字幕に致命的な問題がありました。まず、他の作品と比べて字幕の字が小さすぎること、それから表示時間が短すぎることです。1秒以上表示すると、罪に問われるとでも思っているのでしょうか? クイズ番組かのような速さで、一瞬しか字幕が表示されず、長い文章を読むのは不可能です。字幕というのは、日本ならば日本人が読めるように、日本人がつけるものですが、フィリピンの場合、自分たちは必要ないものを、習慣的につけているだけのことなので、何も考えていないことが散見されます。いい加減な気持ちで仕事をしている1人の人が、多くの人が作り上げた努力の結晶をダメにしてしまうというフィリピンらしい側面を見てしまいました。輸出時にはちゃんとした字幕がつくことを願います。

(Photo cited from ClickTheCity)

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「Manila’s Finest」のストーリー

劇場で見るとメモが取れないこと、字幕の表示速度がおかしくて読み切れなかったため、正確に理解できていないところがあるかもしれません。ご容赦ください。

アポロ宇宙船が月面に着陸したニュースが流れています。どうやら時代時は1969年の出来事のようです。後半に1972年という表示もあったので、3年間のできごとを描いたものだと思われます。

主人公(ホメル)が属する警察署は、綱紀にうるさい所長のもとで、規律をもって働いている署でした。とは言え、所長は人情派でもあり、警官たちに慕われています。

ある日、ギャング同士の抗争によるものと思われる死体があがりました。そして、すぐにもう1つの死体があがり、ギャング同士の大規模な乱闘に発展します。いち早く、状況を把握していた警察官たちは、乱闘の中に飛び込み、たくさんのギャングを逮捕することになりました。しかし、今でのこそフィリピンは銃社会ですが、このころは青龍刀やナタみたいなものを振り回してて戦っていたのですね。また、容赦なく、警察官も刺すところはフィリピンらしいです。

尋問を重ね、事件の全体像を把握しようとする警察官たちですが、急に首都警察から横やりがはいり、逮捕者が全員、首都警察に移送されることになりました。体を張って逮捕した警察官たちは憤りますが、何ともすることができません。ちなみに、主人公らが属する警察署はマニラにあるのですが、地方警察という立場で、おそらくですが、前マルコス大統領が独裁を強めていく中で、首都警察が別に設立され、地方警察から手柄を横取りしたり、邪魔をすることで、権限を奪うことが行われたようです。

また、学生が授業料の値上げに対して平和的にデモを行っていたところ、学生たちに紛れて、警察官に暴行を働き、デモの暴発を演出しました。さらには、そこで学生たちと乱闘した警官を過剰防衛として、一方的に処分します。

さらに、慕われていた所長は更迭となり、新しい所長が首都警察から派遣されてきます。彼は、職員たちに、無駄な抵抗はやめて、首都警察に従うよう指示します。そうしないと、家族の安全が保障できないと脅しまでします。

(ネタバレ)そんな嫌がらせのなかで、1人、また1人と、警察官たちは、声をあげなくなっていきます。それでも、主人公のホメルは、学生のデモの最中に消えた少女が、死体となって発見されたことを、娘から聞きます。娘は、父が所属する警察がやったことと、激しく父親を憎みます。父は、それは首都警察がやったこと、とは言えず、黙って受け止めることしかできませんでした。

そんなわけで、ホメルは1人で捜査を続けていたのですが、ある日、心労のせいなのか、何者かに危害を加えられたのか、警察署の前で倒れているのが発見されます。これには、見て見ぬふりをしていた同僚たちの目の色が変わります。

最後のシーンは、ホメルの娘が夜中帰宅すると、首都警察から派遣されてきたならずもの警察官に「もう外出禁止の時間だ」と難癖をつけられ、パトカーの中に拉致されてしまいます。そして、職位が上の警察官が、娘に性的ないたずらをし始めたときに、元同僚がキレてしまいました。パトカーを乱暴にぶつけたのち、娘を車から出して帰らせます。起こった上司は、その男に拳銃を向けますが、その男は背中を見せ、とぼとぼと歩き出しました。上司たちは彼を撃つことまではできませんでした。そしてエンディングです。

硬派なテーマを扱っており、シナリオ、演出共に渋く、字幕問題だけが残念な作品です。まあまあ大物監督さんの作品なので、ちゃんとした字幕で日本にも紹介されることを期待します。

「Manila’s Finest」の監督、出演者情報

本作の監督を務めたRaymond Redさんは、私が特集ページも作ったミカイル・レッド監督のお父さんです。お父さんも世界的な映画祭で受賞する大物監督さんでしたが、息子のデビュー以降すっかり表舞台から消えていました。本作は10年ぶりの監督作品です。最近伸び悩んでいる息子にカツを入れるべく、渾身の作品を作り上げましたね。俳優陣も豪華です。羽賀研二系イケメン俳優のPiolo Pascualを主役に据え、最後に格好良いところを見せる刑事役として、甘いマスクのイケメン俳優、Enrique Gilを抜擢しています。この2人だけでなく、署内の男たちが闇落ちする渋い演技が光っていました。本作に、日本語字幕がつけば、ぜひおじさんに見てもらいたいですね。

「Manila’s Finest」の作品情報

オリジナルタイトル:Manila’s Finest

公開年 2025年

監督 Raymond Red(マニラ・スカイ

主なキャスト Piolo Pascual(Moro)(牢獄処刑人)(僕のアマンダ)(The Ride)(もう一度あなたと)(The Kingdom

Enrique Gil(Amorosa: The Revenge)(Alone/Together)(I Am Not Big Bird)(Strange Frequencies: Taiwan Killer Hospital)(My Ex & Whys

Ashtine Olviga

視聴可能メディア なし(フィリピンの劇場で鑑賞)

「Manila’s Finest」のトレイラー

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