先日に、2025年マニラ映画祭に行ってきたばかりですが、2024年マニラ映画祭で上映された全10作品がすべてNetflixに収録されて、その全てを見たので、それらを紹介していきたいと思います。1年経てばすべてがNetflixに収録されるならば、わざわざフィリピンまで見に行く必要はないんじゃないかとも思いますが、2023年の上映作品は、現在のところ半数が見る方法がなく、2024年作品がたまたまだったのか、Netflixがマニラ映画祭上映作品を、2024年から全て買い占めることにしたのか、現在のところ不明です。恒例の上位4作品の受賞作品ですが、グランプリが「Green Bones」、2位が「The Kingdom」、3位が「My Future You」、4位が「A Miracle」となりました。私ならば、「The Kingdom」をグランプリにするかなと思いましたが、概ね妥当な順位ではないでしょうか。それでは、順番に紹介していきます。ちなみに、マニラ映画祭では8作品が上映されるのが通例ですが、2023年と2024年は例外的に10作品が上映されています。

(Photo cited from Inquirer entertainment)
1 Green Bones
本作は、2024年のMetro Manila Film Festivalでグランプリに選ばれた作品です。内容は、身内を殺された男が刑務所の新人看守として赴任します。そして、連続殺人犯が近々出所すると聞いて、なんとか阻止したいと、その男を周到に見張ることにします。すると、怪しいところがたくさん見つかります。そして、さらに単独操作を続けると、もっと大きな陰謀へとたどり着いてしまうというサスペンスが繰り広げられ、最終的に人間賛歌へと繋がる大作です。とは言え、設定に矛盾が多く、その野心的なテーマのわりには素直に太鼓判を押せない作品でもあります。
2 The Kingdom
本作は、2024年のMetro Manila Film Festivalで2位に選ばれた作品です。非常に野心的な作品で、植民地化されなかった架空のフィリピンを王位継承問題をテーマにしています。フィリピンの伝統的な文化やマレー文化との交流などを考慮すると、確かに、作中のような王朝文化を築いているかもしれないと思わせてくれます。衣装や小道具まで良く拘ってつくられており、見どころも多い作品です。ただ残念なのは、壮大なテーマ過ぎて、王位継承問題を扱うと、それ以上の要素を描くには尺が足りないところです。フィリピンが得意とする100話程度のドラマにするとちょうど良いテーマなのではないでしょうか。
3 My Future You
本作は、2024年のMetro Manila Film Festivalで3位に選ばれた作品です。内容としては、日本の大ヒットアニメ「君の名は」に大きな影響を受けた作品だと思われます。フィリピンでは若い人に非常に人気の作品です。やっぱり時間を超越したボーイミートガール作品は、面白いですね。フィリピンのラブロマンス映画の中では、かなりお勧めできる作品です。
4 A Miracle
本作は、2024年のMetro Manila Film Festivalで4位に選ばれた作品です。内容はフィリピン映画史上最大の傑作とも言われる「奇跡の女/Himala」をミュージカル映画化したものです。ミュージカルにしたことで、主人公をもっと人間的に描くことになり、町の人たちにも焦点が当てられ、非常に娯楽性の高い作品になりました。みなさん、歌がびっくりするほど上手いので、何度でも見れる配信に向いている作品だと思います。ストーリーを頭に入れておけば、英語字幕でも問題なく見ることができるので、英語字幕フィリピン映画の入門作品にも良いかもしれません。
5 Triggered
本作は、フィリピンらしいアクション映画です。フィリピンアクションと言えば、情け無用の銃撃戦です。細かい設定はすっとばして、ただひたすら殺し合いが続くという作風は、先進国では見られないもので、初めて見るとびっくりするのではないかと思います。フィリピンでは、意外にもアクション映画が少なく、日本で見られるものは非常に限られているので、ファンにとっては嬉しい作品ではないでしょうか。
6 Scarecrow
フィリピンでは、日本では考えられないほど、たくさんのホラー映画が作られており、2024年で一番良くできているホラー映画が本作です。フィリピンでは、毎年ホラー映画を作り過ぎているので、もはや設定が凝り過ぎで、日本人が初めて見ると驚くと思います。何が悪霊の仕業で人間の仕業なのか、良い悪霊と悪い悪霊と言った、フィリピンホラーを見慣れた人の視点がないと、最初は頭が追い付かないかもしれません。日本やアメリカのホラーにはない魅力にあふれた作品です。
7 And The Breadwinner is…
本作は、フィリピンの喜劇王、ヴァイス・ガンダさん主演の作品です。長年、ナンセンスコメディを作り続けていましたが、本作からジュン・ラナ監督とタッグを組むようになり、社会問題をテーマに据えて、その中でコメディを演じる作風になりました。これが非常にうまくいって、ヴァイス・ガンダ映画の復活を告げる作品となったと思います。2025年にも2人は再びタッグを組み、「Call Me Mother」でより洗練された笑いを提供しました。
8 Uninvited
本作は復讐をテーマにした作品です。フィリピンのような強者が弱者を踏みにじれる社会では、大きな需要があるジャンルに思いますが、意外にもそんなに多くの作品はありません。本作も復讐劇特有のスリルを期待したのですが、計画という計画もない、出たとこ勝負の復讐劇で、物足りなさを感じてしまいました。ただ、俳優陣は豪華です。有名俳優が共演する、そんなに深刻にならない復讐劇を狙ってつくったのかもしれません。
9 Strange Frequencies: Taiwan Killer Hospital
本作は、韓国のホラー映画「コンジアム」のフィリピンリメイクです。「リメイク作品が、マニラ映画祭にエントリーされるのか?」とは思いますが、そんなことは気にしないお国柄なのでしょう。リメイク作品なので、私も10作品中9番目に紹介しましたが、元が韓国作品なので脚本がしっかりおり、非常に面白い作品です。内容としては、配信者が台湾にある廃墟病院に潜入して、大変な目にあうというストーリーです。設定上、やらせで恐怖リアクションしているのか、本当なのかが曖昧になり、登場人物が間違った判断をしたり、視聴者が欺かれるという構成が良くできています。
10 Hold Me Close
本作は唯一日本のNetflixで見られない作品です。私はヨーロッパ出張中に見ました。おそらく、東南アジアのNetflixでも視聴できると思います。北米はどうでしょうか? 日本からでもVPNを使えば見ることができます。唯一日本のNetflixで見られない作品なのですが、作品の舞台は日本の唐津です。どうして、これが日本のNetflixで含まれないことになっているのか不思議です。内容としては、ややファンタジックな設定を盛り込んだラブロマンスです。とりあえず、ラストで人が死んだら泣けるだろうという安直なつくりで、お勧めするほどの作品ではありません。
まとめ
マニラ映画祭に行って、フィリピン映画を見る人は、ほとんどいないと思いますが、Netflixでも見れるならば、見てもいいかなと思う人は多いのではないでしょうか。やはり、マニラ映画祭にエントリーされだだけあり、一定のレベルにはあるので、この中から見ていくというのは良いアプローチと思います。ただ、残念なのはすべてが英語字幕のみです。Netflixで日本語字幕が付く作品は、フィリピンでは全くヒットしていない作品であることも多く、どういう基準で日本語字幕化を決めているのかなと思います。

