同僚が殺害された事件のPTSDが男への嫌悪を掻き立てる「Abandoned」

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本作は、社会的なテーマを扱ったドラマ作品を作るのが得意なKip Oebanda監督によるホラー作品です。日本人にはわかりずらいですが、フィリピンではホラー映画の需要が高く、また、おそらく低予算で制作できるため、ホラー映画以外ですでに成功している監督さんでも、定期的にホラーを撮ることがほとんどです。さすがに、恋愛映画を撮っている監督さんは、ホラーを撮りませんが・・・。そういう背景もあり、本作では、できるだけホラー映画よりもサイコサスペンスに寄せようという努力が垣間見えます。普通に見れば、ホラー映画でしかありませんが、主人公が体験する奇怪な現象は、本人が心理的トラウマから体験した幻覚とみなせる範囲におさまっています。とは言え、心理的な体験とみなせる範囲にとどめたため、ストーリーはほとんど動きません。この辺の塩梅が難しいですね。本作は、Amazon Prime Videoで日本語字幕で見ることができますが、自動生成の字幕なので、ある程度のストレスは覚悟する必要があります。

(Photo cited from IMDb)

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「Abandoned」のストーリー

廃墟工場が映し出されたあと、銀行強盗に警備員が殺されるシーンに移り、その後、物語が始まります。主人公は、シングルマザー(シモン)で、1人息子と住んでいます。シモンは、銀行強盗の現場で警備員として働いていたのですが、同僚が殺されるのを防げなかったという理由で、クビになりそうな状況です。さすがに、それを警備員の責任にするのは酷いだろうと思いましたが、フィリピンでは普通の感覚なのでしょうか? 日本ならトラウマケアの対象で、しばらく休暇がもらえるはずです。

シングルマザーであるシモンは、息子の学費を稼がなければならず、今仕事を失うわけにはいきません。また、他の仕事も探すのですが、40過ぎ(に見える)シモンにとって、新しい仕事を探すのは困難です。というわけで、警備会社の上司にしつこく食い下がったところ、廃墟工場の夜間警備の仕事ならば紹介できると言われました。ちょうど、前任者が妊娠でやめたのだそうです。フィリピンでは、女性でも夜間警備の仕事をすることがあるんですね。警備しないと、麻薬中毒者たちが集まる場所になってしまうのだそうです。

さっそく、昼間に廃墟工場の見学にいきます。ちょっと癖のある男性警備員が案内してくれました。シモンは、工場内でたくさんの人たちが死んでいる幻覚を見ます。それは、銀行強盗による同僚が殺されたことが、心理的トラウマになっていることが示唆されました。

そんなわけで、夜の警備が始まりました。やはり、常に奇怪な現象にさらされ続けます。2日目の警備では、オカルトマニアの学生が勝手に入ってきたりということもありますが、その後は奇怪な現象にさらされます。徐々に、幻覚はは気味の悪い女性の姿を取ってあらわれるようになり、DVをしていた自分の父や夫への憎悪を掻き立て、やがて息子に憎悪を向けるよう誘導します。

さすがに、こんな状態では夜勤は無理と思い、日勤を担当している男性警備員にシフトを変わってもらうようお願いするのですが、あっさり断られます。そして、前任者も同じようなことを言っていたと、やっぱりホラーであることを暗示するような言葉がありました。

(ネタバレ)ある晩のこと、息子が夜勤をつとめている工場にやってきました。シモンは上機嫌で、工場の中を一緒に巡回するのですが、電話がかかってきました。そして、それは息子からでした。シモンは、恐る恐る振り返ると、息子の姿をした何者かが人の肉を食べていました。シモンは、その悪霊を殴り殺します。それが、本当の息子で、電話をかけた方が偽物だったら嫌だなと思いましたが、そんなことはなく、普通に翌朝になります。

茫然とする彼女は、息子に詰め寄り、息子が離婚した夫とこっそり連絡を取っていること、自分に隠れて女の子と付き合っていることを激しく責め立てます。その怒りが頂点に達し、幻覚にそそのかされるままに、息子の首をハサミでちょん切ってしまおうとするときに、シモンは息子の口から母親への愛を聞き正気に戻りました。その後、幻聴から逃れるために、自分の腹をハサミで刺します。彼女は病院に運ばれました。

結局、シモンは命を取り留めました。シモンは、医師の質問に対して「まだ幻覚はあるのです」と答えます。すると、医師は「誰もが心の中に悪魔を飼っている。問題は、それをどう飼いならすかだ」と答えます。息子がやってきて、無事再会できたことを喜びますが、また幻覚の女がうろついています。シモンは、それを無視して「ちょうど古い友人が通りすぎるのを見た」と息子に説明します。そして、エンディングです。

ホラーとサイコスリラーの中間を狙ったものと思いますが、ホラーとしては展開が少なく、サイコスリラーとしては、初めの銀行強盗だけでは仕掛けが弱いという、中途半端な作品になってしまいました。駄作ではありませんが、Kip Oebanda監督の良さを活かすことができず、平凡な作品となってしまった印象です。

「Abandoned」の監督、出演者情報

本作の監督をつとめたKip Oebandaさんは、本サイトで注目している監督さんです。社会的なテーマを扱った作品を得意としていますが、大ヒットしてシリーズ化した大衆作品も撮っており、器用な監督さんです。ときどき、断れないのかホラーを撮るのですが、ホラーだけが平凡なできの作品になっています。主役のお母さんを演じたのは、名前が派手なBeauty Gonzalezさん。作中では疲れ切ったシングルマザーを演じており、40代かと思いましたが、公開当時28歳。やつれた感じはメイクのせいだったのですね。失礼しました。特筆すべきは、幻覚の女を演じていたBarbara Ruaroさんです。彼女を見るのは、「ウリリは黒魔術の夢をみた」に続き2作目ですが、非常に個性的で印象深い怖さがありますね。1度見たら忘れないタイプの女優さんです。

「Abandoned」の作品情報

オリジナルタイトル:Abandoned

公開年 2019年

監督 Kip Oebanda(Liway)(Nay)(Balota)(Bar Boys: After School)(Bar Boys

主なキャスト Beauty Gonzalez(イン・マイ・マザーズ・スキン)(アウトサイド)(Izla)(Kampon)(義足のボクサー GENSAN PUNCH

Seth Fedelin(My Future You

Barbara Ruaro(ウリリは黒魔術の夢をみた

視聴可能メディア Amazon Prime Video(自動生成日本語字幕)

「Abandoned」のトレイラー

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