終わりのない道で繰り広げられる怪奇現象と殺人事件の連鎖「ザ・アブノーマル」

スポンサーリンク

フィリピンでは、アクションやコメディ映画を専門にしている監督さんでも、生涯に1本はホラー映画を撮るという謎の不文律があるますが、やはりホラー映画はホラーを専門としている監督さんが撮ったものがいいですね。餅は餅屋です。本作は、ほぼホラー映画専門の監督さんが撮ったホラー作品で、日本でDVD化もされているので、クオリティは保証できます。映画の導入もいいですね。若者3人が、何気なく入った一本道を車で走っていると、一向に出口もなく風景も変わりません。また、後ろから同じ車に何度も追い抜かされるのですが、その車には運転手が乗っていません。大して筋とは関係ないのですが、こういう心理的に怖いシーンから始められるのが、ホラーの専門家なんだなと思いました。

(Photo cited from Filmarks)

スポンサーリンク

「ザ・アブノーマル」のストーリー

3部構成の物語です。第1部は、イケメンの警察官が表彰されるシーンから始まります。上司は強引な操作方法を認めていないようですが、市長が推薦するため表彰となったと語ります。その表彰式を見つめる中年女性がいます。彼女は、イケメン警察官に娘2人が失踪した事件の進捗を訪ねます。それは12年も前の事件のようで、同僚は家族に期待させるなと言いますが、イケメン警察官は、捜査資料を手に入れて事件を研究しているようでした。

場所は変わって、若い男女の3人組(男1,女2)のシーンです。男が、運転免許の試験のために、車の運転練習をしようと女2人を誘います。車は親のものを勝手に持ち出します。ところが、進行方向に警察の検問らしきものがあり、免許不携帯で捕まるのをさけて、脇道に入りました。その脇道は、板で封鎖されていたのですが、男は板を外して誰も走っていない道を快適に運転練習しました。ところが、時々背後から車に追い抜かれます。どうも同じ車のように思われ、しかも運転手が乗っていないことが確認されたため3人はパニックになります。また、この道は終わりがありません。引き返そうにも脱出することができません。また、頭に麻袋のようなものを被せられた血まみれの女の姿も時々見えるようになり、男1人と女1人が殺されたのか、死んでしまいました。

翌日、警察官が現場検証をします。2人の死体が確認され、また現場付近に破棄された古い車を発見し、その中に古い死体を発見しました。それが持ち物から、12年前の失踪した姉妹の1人であることがわかりました。

第2部に入ります。日中、若い姉妹が同じ道を走っています。ところが車がオーバーヒートしてしまい、近くの家に水を求めました。しかし、途上国の車はなぜ頻繁にオーバーヒートするのでしょうか?私もセネガルで酷い目にあったことがあります。日本では見たことがないのですが・・・。

しかし、この家の男がいきなり2人を殴りつけ監禁してしまいます。暴力シーンや脱出劇などスリリングなシーンもありましたが、結果的に2人とも殺されてしまいます。

一瞬、現代に戻り、警察官が近くの家に踏み込み、監禁されていた女を発見します。しかし、この女は、第2部で殺された妹が憑依したような言動がありました。

(ネタバレ)第3部は、殺人犯の子供時代の物語です。彼は宣教師の父親と、異常な母親に育てられています。家から出ることは許されず、時にワードローブの中に閉じ込められます。そんなおり、洗濯女として若い女性が紹介されてやってきます。彼女は、虐げられた子供とも屈託なく話すのですが、それを母親に発見され「女と口をきくと汚れる」と言って、女を突き飛ばしました。その際に、女は頭をぶつけて死んでしまいました。当たり前のように、死体を処分して事件を隠蔽する母親を、父親は口論の末に殺してしまったようです。しかし、少年には死んだ母親が見え、いつまでも強圧的な命令してきます。父親は母の亡霊に殺されたのか、自殺して死んでしまいました。その頃には、殺された洗濯女の亡霊も見えるようになっていました。

最後に現代のシーンに戻ります。警察官は、犯行現場をさらに捜索します。そして新しい鍵がかかった部屋の鍵を壊して踏み込むと、イケメン警察官が同僚を射殺しました。ちょっと意味がわからないなと思っていると、何気なく現場を離れようとするイケメン警察官に、救出された女が「彼が犯人だ」と声を上げます。イケメン警察官は、その場で1人の警察官を射殺しで車で逃走しますが、第2部で姉妹の車が止まってしまった場所で、車が動かなくなってしまいます。いつの間にか、2人の女の亡霊に囲まれており、亡霊たちは、彼の握りしめた拳銃を彼に向けさせ、自殺したようなかたちで死んでしまいました。そしてエンディングです。

なぜ、トラウマを追った少年が、いつの間にか警察官になっていたのでしょうか? 彼は12年前の失踪事件も初めて聞いたみたいな顔で、捜査資料を見ていましたが、自分が殺した事件を忘れていたのでしょうか? そして表彰されるような優秀な警察官だったとはどういうことだったのでしょうか? 謎が残ります。とは言え、ホラーとして矛盾があって納得できないというようなものではないので、問題ないと思います。

「ザ・アブノーマル」の監督、出演者情報

本作品の監督をつとめたYam Laranasさんは、ホラー映画専門の監督さんと言っても良いでしょう。Yam Laranas監督の代表作は「519号室」でしょう。これもDVDで日本語字幕、日本語吹き替えで見ることができるのでお勧めです。俳優は、3部に分かれているので、主役と言う主役はいないのですが、この惨劇から唯一生き残ったのが、超売れっ子女優のBarbie Fortezaさんでした。最近は主役ばかりですが、この頃はまだ脇役で出ていたのですね。驚くべきことに、今とほぼ見た目が変わっていません。

「ザ・アブノーマル」の作品情報

オリジナルタイトル:The Road

公開年 2011年

監督 Yam Laranas(ホスピタル・オブ・ザ・デッド 〜閉ざされた病院〜)(コールガール 欲望の餌食)(オーロラ 消えた難破船)(Nightshift)(519号室

主なキャスト TJ Trinidad

Barbie Forteza(That Kind of Love)(悪キャラ養成アカデミー

Rhian Ramos

視聴可能メディア TSUTAYA DISCAS(日本語字幕)

「ザ・アブノーマル」のトレイラー

タイトルとURLをコピーしました