トロフィーワイフと言えば、社交界で見せびらかすために、お金持ちが結婚する、若くて背の高い美人の奥さんのことを指すと思いますが、本作はそんな話ではありませんでした。フィリピン映画にときどきある、タイトルで観客に誤解させておき、謎を深めようとするタイプの作品でした。肝心のサスペンスパートは、次々と明らかになる新事実に驚かされますが、「本人同士が話し合えば、一発で破綻するだろう」という計画で、無理のあるストーリーだったと思います。それでも、後半二転三転するストーリーは、(よくよく考えると無理があるのですが)それなりに驚かされますし、メインヒロイン2人が美人なので、見て損をする作品ではないと思います。

(Photo cited from IMDb)
「Trophy Wife」のストーリー
2人の男性主人公である兄(サミー)と弟(チノ)の父が亡くなったようで、その葬儀のシーンから始まります。サミーは、父の事業を継承して真面目に働くビジネスマン、チノは親の金で女と遊ぶプレイボーイです。兄は、弟に小言を言いますが、弟は適当に聞き流して、また女のもとへと向かいます。
一方で、女性主人公の1人であるラニは、貧乏生活を抜け出すために、デートサイトで夫となる外国人の男を物色している毎日です。ラニの母は、デートサイトに毎日数時間費やす娘に不安を感じています。そんなラニと、チノはバーで出会います。2人はあっという間に恋人関係へと至ります。その頃、サミーは、ドラッグ中毒の妻を警察に突き出し、リハビリセンター送りにしました。そのうえで、離婚届にサインさせました。
チノとラニの仲は、都会育ちのチノにとって、ラニの食べる昆虫料理は受け入れられないなど、やはり育ちの違いによるギャップもありますが、それなりに上手くいっているようでした。しかし、バーでラニにちょっかいを出してきた男と喧嘩になり、それが市長の息子だったため、警察に逮捕され、留置所に収監されてしまいます。結局、兄が助けてくれるのですが、兄の提案で、ほとぼりが冷めるまでアメリカに逃れることになりました。そのため、ラニはチノと無理やり別れさせられたような形になります。しかも、チノがアメリカに去ったあとでわかったのですが、ラニは妊娠していました。彼女はチノの友達を訪れるのですが、全く相手にされず、むしろひどい目に遭わされ、チノに深い恨みを持ちました。
さて、アメリカに移ったチノですが、兄にクレジットカードを止められ、やむなく仕事をして過ごします。そんな中、フィリピン人の美人女性(グウェン)と出会います。同じパターンですが、2人はあっと言う間に恋人関係となりました。
その頃、ラニはと言うと、再びネットで外国人男性を探す日々に戻っていました。そんな中、パーティに誘ってくれた外国人がおり、そのパーティで、ラニは、チノの兄、サミーに出会います。サミーは、ラニに最初から惹かれ、アタックするのですが、ラニは拒絶します。ラニがサミーのことを知っていたのかは、この時点ではわかりません。それでも、熱心にアプローチするサミーは、ラニが店長として働いている店に高価な料理を注文をして、彼女の気を引き、結局2人は恋人関係となりました。
サミーは、ラニが気に入り、入籍します。この新しい妻をお披露目するために、チノがフィリピンに呼び戻されます。チノは、グウェンを連れて戻りました。チノは、兄の新しい妻が、自分の元恋人で、捨てたような形になっていた女だと知り、びっくりです。兄に、この女は悪い意図を持っているので別れた方がいいと伝えます。兄は、弟がなぜそんなことを言うのかわかりません。チノは、ラニと2人になったとき「俺はダメ人間だから、俺には何をしてもいいが、兄にはもっと良い女と一緒になって欲しい。頼むから別れてくれ」と懇願しますが、ラニは自分の意図を明らかにしません。
(ネタバレ)しかし、驚くべきことが明らかになります。なんと、ラニとグウェンは姉妹だったのです。どうやら、ラニがアメリカに住む姉のグウェンに、チノを誘惑するよう依頼したことがわかります。しかし、すでにグウェンは、チノの惹かれており、妹のためにチノを騙すことに罪悪感を感じています。そのことを察したラニは、チノを誘惑し、グウェンとチノの仲が壊れるように誘導します。結局、グウェンが罪悪感から、全てをチノに白状します。すっかり仰天したチノは、自分の兄に危機が迫っていることを察します。ところが、一方で、サミーの元妻とも話す機会があり、サミーがサディストであること、暴力を振るい、自分に麻薬を使ったのだと語ります。サミーが危機なのか、ラニに危機が迫っているのかわからない状況ですが、ともかく、チノとグウェンは、2人の元に向かいました。
最初に危機が迫っていたのは、サミーでした。ラニが拳銃を取り出し、隙を伺っていると、いきなりサミーが張り倒して、拳銃が吹っ飛びます。サミーは、ラニとグウェンが話しているのを立ち聞きしたことがあり、2人の企みを知っていたのです。怒りで、サミーはラニを殴りつけます。そこに、2人が到着しました。すぐさま、サミーは発砲し、グウェンが倒れました。さらに、ラニを殺そうとするサミーに、チノがとびかかり、もみ合いになっているうちに、引き金が引かれてしまい、チノが死んでしまいまいた。
最後のシーンは、チノに無罪判決が言い渡されるシーンです。チノはグウェンと抱き合います。その頃、ラニも新しい人生に向けて進み始めていました。アメリカ大使館に書類を申請し、ビザの発給が認められると言われ、笑顔があふれます。そして、エンディングです。
貧乏から逃れるために、国際結婚にかけている女が、レストランの店長だったり、最後に当たり前のようにアメリカ行きのビザが認められたりするなど設定に矛盾があります。また、幼いころにアメリカの家庭に養子に出された姉を都合よく使えるというのも無理があります。しかも、一緒にフィリピンに帰国させて、いったい何をしようとしたのでしょうか? また、ラニとサミーの出会いは、偶然であり、企んで仕組めるようなものではありませんでした。男女両方ともに、きょうだいであった、どちらに危険が迫っているのかわからない、などサスペンスとして面白いところもありますが、その構造を作るために、無理な設定になっているところが問題だったと思います。
「Trophy Wife」の監督、出演者情報
本作の監督をつとめたAndoy Ranayさんは、今もコンスタントに作品を撮り続けている監督さんです。ヒットした映画が多いのは、2010年代で、本作も彼の代表作の1つだそうです。本作だけで判断するには早いので、もう1作は見てみたいですね。本作中では、姉の方が魅力的に見えましたが、姉を演じた女優、Heart Evangelistaさんは、そんなに出演作も多くなく、近年はほとんど女優として活動していないようです。
「Trophy Wife」の作品情報
オリジナルタイトル:Trophy Wife
公開年 2014年
監督 Andoy Ranay
主なキャスト Cristine Reyes(ホスピタル・オブ・ザ・デッド 〜閉ざされた病院〜)(MARIA/マリア)(UnTrue)
Heart Evangelista
John Estrada
Derek Ramsay(All You Need Is Pag-ibig)(Kampon)(The Janitor)(English Only, Please)(All of You)(T2)
視聴可能メディア Youtube(英語字幕のみ)
「Trophy Wife」のトレイラー
トレイラーが見つからなかったので、本編映像のリンクを貼ります。
