設定があまりに奇抜すぎて、脚本がどちらに向かっているのか、途中でわからなくなる、ハラハラさせられる作品でした。主人公の女性は、付き合った男が、みんなゲイをカミングアウトして去っていくという不運にみまわれています。もはや、写真を見れば、男がゲイかどうかわかるほどになってしまいました。そして、元彼氏のゲイが、今は仕事のパートナーで、ウエディングプランナーの仕事をしています。ある日、元彼氏が昔好きだった男が、彼に結婚式の手配を頼みます。元彼氏は、その男がゲイじゃないかと一縷の望みをかけ、仕事をしながら、主人公に調査させるのですが、わかりません。主人公も、この男性に好感を持つようになり、ウエディングプランナーとして、結婚する2人のために結婚式の準備をしながら、恋心も持ち、ゲイじゃないかと確かめ、しかも、好きになればなるほど、この男もゲイじゃないかと苦悩するという、複雑な事態に陥ってしまいます。しかも、結婚する2人の愛が盤石ならば、ウエディングプランナー2人のから騒ぎでしかないのですが、意外と上手くいっていないことがわかってきて、ますます混迷を極めることになります。タイトルの「Bakit lahat ng gwapo may boyfriend?!」は、「なぜ、イケメンは彼氏がいるの?」という意味です。

(Photo cited from IMDb)
「Bakit lahat ng gwapo may boyfriend?!」のストーリー
最初は、主人公女性(キリー)の半生を象徴するイメージシーンです。パーティで、男たちに「あいつも、あいつも、あいつもゲイだ」と言って絶望します。
さて、本編は、キリーの元彼であり、ウエディングプランナーの仕事を一緒にしているベンジーが、若いころに憧れていた男(ディエゴ)の結婚式の手配を頼まれることから始まります。ディエゴは、これから恋人と結婚式をあげようというので、彼がゲイである可能性はないように思うのですが、ベンジーは、ディエゴがゲイで、これは偽装結婚だという考えに一縷の望みを託します。普段は100発100中のゲイセンサーを持つキリーですが、ディエゴに関しては、はっきりとはわかりません。
いずれにせよ、ディエゴの結婚式のために、2人は働くこととなりました。キリーは、ウエディングプランナーとして、頻繁にディエゴと会うことがありますので、彼をしっかり観察すると、妙に口紅のブランドに詳しかったり、手を見るときに甲の側から見るなど、ゲイらしいところも垣間見れます。しかし、恋人への愛は確かなように見えます。また、キリーは、そんなディエゴに好印象を持つようになります。
また、最初はエリートの美男美女に見えたカップルですが、ディエゴと彼女の関係はギクシャクしていることがわかります。彼女は、今回の結婚式のために、ドイツでの仕事をキャンセルしたことを不満に思っています。また、徐々にわかってくるのですが、性格もあまり良くなさそうです。
そんな彼女をなだめながら、結婚式の準備のために、頻繁に打ち合わせをするキリーとディエゴは、少しずつお互いに好意を持つようになりました。そして、ディエゴの彼女が、結婚式の準備にまったく顔を出さないので、キリーが新婦のふりをして様々な手続きをするようになり、2人の仲は決定的に深まります。とは言え、キリーは、ウエディングプランナーとして他人の結婚式を準備しているのであり、ディエゴにとっても、この先にあるのは恋人との結婚生活です。2人は、お互いの気持ちを口に出すことはありません。また、キリーは、ディエゴのことを好いているベンジーのことも気にかけています。また、ディエゴの恋人も、彼の気持ちが自分から離れつつあることに気づいています。
(ネタバレ)そんなこんなで、みんなの気持ちがチグハグなまま、結婚式の前日(?)パーティの日となりました。パーティでいたたまれなくなったキリーは、やけ酒に走ってしまい、すっかり酔っ払った彼女は、パーティの参加者を「お前はゲイだ」と次々名指ししていきます。そして、ベンジーがゲイであり、ディエゴを好いていたことまで勝手にしゃべってしまい、ディエゴに対しても「お前はゲイだ」と罵ります。慌てて、会場から出されたキリーの元に、ディエゴがやってきて尋ねます。「どうして君は、僕のことをゲイだと言い続けるんだ?」。キリーは「だって、私はあなたか好きだから。私が好きになった男はみんなゲイになってしまうから」と言って泣きわめきます。そんなこんなで、パーティは大失敗でおわります。
ディエゴは、また新しいウエディングプランナーを雇って、結婚式をやりなおそうと、彼女に提案しますが、彼女の返事は「ノー」でした。彼女は、自分の仕事を犠牲にしてまで、今結婚することを望んでおらず、2人はお別れとなりました。その後、ディエゴは、キリーに事の顛末と、自分の想いを伝えました。そして、自分はゲイではないと誓います。最後のシーンは、ベンジーとゲイの恋人による結婚お披露目パーティーです。キリーと、ディエゴは参加者として、バカバカしいパーティを楽しみます。そしてエンディングです。
ウエディングプランナーが、新婦から新郎を奪うって、モラルとしてどうよ?とは思いますが、このカップルは遅かれ早かれ破綻していたので、フィリピン的には、それはOKなのでしょう。私は日本人ですので、主人公が職業倫理の一線を越えるとは思わず、きっとカップルが結婚式をあげるのだろうと思ってみていましたから、驚きました。新郎も、結婚式が破綻したからと言って、すぐに他の女に愛を打ち明けにいくのもどうなんだろう?と思ってしまいます。この辺の感覚は、日本人とフィリピン人ではだいぶ違いますね。
「Bakit lahat ng gwapo may boyfriend?!」の監督、出演者情報
本作の監督をつとめたジュン・ラナさんは、脚本家出身の映画監督さんです。本作も脚本のレベルが高かったですね。近々、専用ページをつくります。主役のキリーを演じたAnne Curtisさんは、どこかで見た顔だと思ったら「バイバスト」でノンストップアクションを演じた女優さんだったのですね。恋愛コメディよりも、アクションの方が合っているように思います。ベンジーを演じたPaolo Ballesterosさんは、ジュン・ラナ監督のゲイをテーマにした作品にはほとんど出て、ゲイを演じている俳優さん、当然本人もゲイです。
「Bakit lahat ng gwapo may boyfriend?!」の作品情報
オリジナルタイトル:Bakit lahat ng gwapo may boyfriend?!
公開年 2016年
監督 Jun Lana(ダイ・ビューティフル)(Ten Little Mistresses)(Haunted Mansion)(Bwakaw)(Call Me Mother)(そして大黒柱は…)(Big Night!)(Kalel, 15)(Barber’s Tales)(Becky and Badette)(The Girl Allergic to WiFi)(The Panti Sisters)(Ang Dalawang Mrs. Reyes)(Your Mother’s Son)(Gigil)(The Prenup)
主なキャスト Anne Curtis(オーロラ 消えた難破船)(バイバスト)
Dennis Trillo(Green Bones)(Sapi)(The Janitor)(Everything About My Wife)
Paolo Ballesteros(The Panti Sisters)(ダイ・ビューティフル)
視聴可能メディア ロシアの怪しいサイト(英語字幕のみ)

