15歳でHIVに感染した少年の鬱屈を描く「Kalel, 15」

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非常に特殊なテーマで、刺さる人にしか刺さらないと思いますが、国際的にも評価の高い作品です。15歳でHIVに感染した少年が送る鬱屈の日々を描きます。当然、HIVに感染していることを秘密にするのですが、それによって、恋人との距離を取らなければなりませんし、その理由を説明することもできません。また、15歳の少年が、大きな秘密を抱えて生きるということは、相当大きなストレスです。結局、安易な快楽に身を身を投じてしまい、それが秘密がばれることへと繋がり、ギリギリ保ってきた彼の日常も崩壊してしまいます。自分ならどうしただろうと想像しながら見ましたが、自分の人生で、こんな重大な秘密を抱えたこともなく、15歳時のころの自分を思い出して想像するのも困難で、自分としては消化することが難しい作品でした。HIV陽性者ではなくても、若い人向けの作品ではないでしょうか。

(Photo cited from IMDb)

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「Kalel, 15」のストーリー

診療所で何らかの病気が判明し、帰宅する少年(カレル)と母のシーンから始まります。母は食堂で働いており、カレルもその手伝いをしています。カレルには、積極的に迫ってくる恋人がいます。キスを迫ったりもするのですが、よそよそしい態度を取ることもあるので、彼女は苛立っています。しばらくして、カレルの病気とはHIVに罹患したことだとわかります。

カレルは、SNSに夢中で、自分の上半身を写真に撮って投稿したところ、ゲイらしき男たちから1000もの「いいね」が付きました。最後まで示されませんでしたが、カレルがHIVに感染したのは、おそらく成人男性との性行為でしょう。

父は司祭で、たまに家を訪れます。父に「お前はゲイか?」と聞かれますが、カレルは返事をしません。姉は、HIVの件を知りませんでしたが、やがてカレルと母の会話を聞いて知るところとなりました。

カレルは常に鬱屈しており、友達と踊りにいって、女の子にちょっかいをだしき、酒を飲み、タバコを吸っていたところ、それが彼女にバレて、彼女は大激怒です。彼女は「私たちは何なの? ただの友達なの? それともそれ以上なの?」と、カレルを問い詰めますが、彼は答えることができません。

カレルは、父から学費を受け取るために、教会を尋ねました。お金を一緒に、ココナッツバージンオイルをもらいました。父によると、ネットで「ココナッツバージンオイルがHIVの活動性を抑えると書いてあった。身体に塗るように」と言います。

彼女は気を取り直して、今度は積極的にカレルに迫ります。今日は両親がいないからと言って、家に連れ込み、無理やりキスをしました。カレルは慌てて逃げだします。その後、彼女は別の男に乗り換えました。

トンデモないことですが、母が恋人と出ていくこととなりました。母は「あなたにもいずれわかる。自分を本当に愛してくれる人がどんなに大事か」と言い残して、お金を置いておきます。姉は知らなかったようで激怒しますが、やがて男を連れ込みます。当然ですが、ダメ男で暴力をふるい、お金をすぐにつかってしまいます。

ある日、カレルは医師の診察を受けます。医師は薬を飲んでいるか確認し、カウンセリングの重要性を説きます。すでに、胸には斑点が出現しています。彼と彼の母は1度もカウンセリングを受診していないそうです。医師は、キスでも口に傷があったりすると、わずかながら感染の可能性があると言って、カレルに性的活動を確認しますが、カレルは動揺しながらも無言を押し通しました。

やがて、元恋人が入院していると聞いて、カレルは心配になり、お見舞いにいきます。そこで、元恋人と仲直りしました。

(ネタバレ)鬱屈した日々を送るカレルですが、友達に誘われてドラッグパーティにいきました。そこで、朦朧としながら、お互いの秘密を語り合おうということになり、カレルは自分がHIVであることを告白しました。友達らは、「友の問題は、俺たちの問題だ」と、その場ではハイになって言っていましたが、翌日から態度が急変。秘密も漏らされており、HIVのことは学校中の者が知るところとなりました。突然殴られたり、激怒した元恋人に詰め寄られたりと散々な目にあり、帰宅すると、家は真っ暗です。姉が家賃を5か月も滞納していたうえに、大家に暴力を振るったため、彼女は留置所にいることが判明します。警察を訪れますが、両親を連れてきなさいと言われるばかりです。

カエルは、明かりも食べ物もない家に戻り、眠りにつこうとしますが、窓ガラスが割られます。外を見ると、同級生らしき少年たちが見えました。翌朝、教会の父を訪れ、状況を話したところ、滞納した家賃を払ってもらえることになりました。しかし、姉は父の子ではないと言って、姉の保釈金を払うことは拒否されます。彼は、家に帰っても1人です。居場所もなく、途方に暮れます。そして、フィリピンのHIVに関する現状がテロップで表示され、エンディングです。

もしも、母親が出て行かなければ、カレルはもう少し秘密を守れたんじゃないかなと思いました。15歳の少年が1人で抱えるには大きすぎる秘密でした。しかし、母は息子のHIVが負担になって逃げだしたわけではなさそうで、カレルと姉の父親が違ったり、カレルの父親が司祭であったりと、恋愛にはまり込んでしまうタイプの人のようです。

しかし、カレルの胸の斑点がHIVによるものかはわかりませんが、まだ15歳ですから、おそらく感染して時間が経っておらず、抗HIV薬を服用しているにも関わらず、なぜ発症ような様子が描かれているのでしょうか? 抗HIV薬を飲んでいれば、基本的には一生AIDSを発病しないはずで、本作はHIVに対する人々の偏見を描くことを目的としているわりには、基本的な事実を間違えているのか、捻じ曲げて描いているように思いました。むしろ、HIVをテーマにしているというより、少年が1人で秘密を抱えることの大変さを描いているのかも知れませんね。

「Kalel, 15」の監督、出演者情報

本作の監督をとつめたJun Lanaさんは、自身もゲイであることを公開しており、やはりゲイにまつわる作品が多い監督さんです。国際的にも非常に評価の高い監督さんです。最近では、フィリピンの喜劇王、ヴァイス・ガンダさんとのタッグ作品がヒットして、勢いのかる監督さんです。主人公を演じたElijah Canlas君は、その頼りない容姿を活かして、いつも難しい役を演じている印象です。本人はゲイではないようですが、ゲイの少年や、自閉症児、ボーイズラブなど様々な役に挑戦しています。母親を演じたJaclyn Joseさんは、カンヌ映画祭で主演女優賞を取った唯一のフィリピン人です。いつも存在感ある母親、おばちゃんを演じています。

「Kalel, 15」の作品情報

オリジナルタイトル:Kalel, 15

公開年 2019年

監督 Jun Lana(ダイ・ビューティフル)(Ten Little Mistresses)(Haunted Mansion)(Bwakaw)(Call Me Mother)(そして大黒柱は…)(Big Night!

主なキャスト Elijah Canlas(ライブスクリーム 戦慄の脱出ゲーム)(ゲームボーイズ THE MOVIE ~僕らの恋のかたち~)(女と銃(The Girl and the Gun))(キー・トゥ・ザ・ハート)(About Us But Not About Us)(Sunshine

Jaclyn Jose(ハウスメイド 欲望のしもべ)(売られた女 セックスの代償)(高級娼婦)(ローサは密告された)(White Slavery

Eddie Garcia

視聴可能メディア Bili Bili(英語字幕のみ)

「Kalel, 15」のトレイラー

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