スペインのフィリピン統治の末期を描く「GomBurZa」

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ネタバレになってしまうのですが、先にタイトルの意味を説明すると、本作の最終盤でスペイン政府によって処刑される3人の司祭(Mariano GomezJosé Burgos、Jacinto Zamora)の頭文字をとったものです。つまり、実際の事件を映画化したのが本作です。なぜ、この3人が処刑されなければならなかったのかは、本作を見てもはっきりとはわからないのですが、植民地政府と宗教勢力のあいだで主導権争いがあり、植民地政府側が宗教勢力の力をそぐために画策したものであることが示唆されています。さらには。宗教勢力内でも、修道会と司祭たちのあいだにも、スペイン人と現地人のあいだに産まれたハーフを、スペイン人とてして扱うかについて意見の相違があり、お互いに足を引っ張り合うことになってしまいます。フィリピン人という自己認識が、スペイン人とみなされなかったハーフたちから生まれたものだという解釈が面白かったです。現地の人は、「お前は何者だ?」と聞かれると、「タガログ族」だと答えています。そんな歴史の一端が描かれる良作です。

(Photo cited from IMDb)

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「GomBurZa」のストーリー

まだ、フィリピン人と言う概念もなく、地元の人々はインディオと呼ばれていた時代のことです。インディオは、キリスト教の司祭になれなかったので、インディオのために、伝統文化とキリスト教をミックスした教義を行うインディオがいました。当然、スペイン政府は、そんな活動を許すはずもなく、彼は処刑されたという歴史的事実が語られます。そして、本編が始まります。

最初に主人公のように登場したのは、ぺラレスです。彼はフィリピン生まれ(現地人とのハーフであるかは不明)であるために、修道士になることができず、改善をスペイン政府に訴えていました。彼は、司祭たちの教師でもありました。修道会には、まったく相手にしてくれないので、司祭たちの指示を受けて、教会改革をゆっくりと進めていました。この時点では、ほとんど目立ちませんが、その弟子が、本作の主人公(ブルゴス)です。ブルゴスは、現地人とのハーフです。しかし、ブルゴスと言えば、ゴーゴーバーがあるブルゴス・ストリートを思い出しますが、彼の名前が付けられたのでしょうか? もしそうなら、ちょっと可愛そうな気がしますね。

しかし、改革半ばで、大地震によりぺラレスは急逝してしまいます。そこで、ブルゴスが改革事業を引き継ぐことになりました。ところが、引き継ぐやいなやブルゴスの学生が逮捕されてしまいます。植民地政府総督に直談判にいったところ、学生の釈放は約束してもらえましたが、「これは警告だ」と言われ、教会の改革運動をやめるように言われました。これには、ブルゴスは「はい」と言うしかありません。つまり、その後も彼は何もやっていないのですが、のちに逮捕され、処刑されてしまうのです。あまりに何もしない主人公でした。また、ぺラレスの活動が黙認されていたのは、彼は現地産まれと言っても、両親がスペイン人だったのではないでしょうか? ならば、ブルゴスの代になって、急に取り締まられるのも説明がつきます。

その頃、植民地政府軍でも不満の声があがっていました。というのは、純粋なスペイン人兵士は、税金を納める必要もなく、労働にも従事する必要はなかったのですが、現地人やそのハーフたちは、税金を納めなければならず、過酷な炭鉱労働にも従事しなければなりませんでした。そのため、兵士たちの一部が蜂起します。しかし、裏切者の存在により、蜂起は失敗し、反乱を首謀したものたちは捉えられて、処刑されます。

(ネタバレ)その後、なぜかブルゴスら、ハーフの司祭たちのもとにも、憲兵たちがやってきて、彼らを逮捕してしまいます。まったく身に覚えのないブルゴスらですが、裁判で、見たこともない兵士が、反乱を首謀したのは、ブルゴスたちだと証言します。その兵士は明らかに顔を腫らして、拷問のあとがあるのですが、裁判は結果ありきですから何ともなりません。ブルゴスらは、無実の反乱の責を負わされ、投獄されました。

司教は、ブルゴスたちを釈放しようと、植民地総督にかけあいますが、総督は考えを変えません。スペイン兵8000人のうち、スペイン人は300人しかおらず、常に反乱に備える必要があると、彼は考えているのです。結局、司教ができたことは、ブルゴスらを司祭の地位のまま死を与えることだけでした。

いよいよ処刑の日がやってきます。まず、偽の証言をした兵士が殺されます。処刑法は残酷なもので、首に金属の輪をつけ、万力のような仕組みで首を破壊するというものでした。兵士のあと、2人の司祭も処刑され、いよいよブルゴスが処刑されることになります。彼は、「自分は何も悪いことをしていない。無実だ」と叫びます。処刑を見ている大衆たちも「彼は何も悪いことはしていない」と叫びますが、処刑を実行する兵士は、「キリストでさえ、無実の罪で処刑された」と冷たく言い放ちます。

3人の処刑が、地元の人々に「フィリピン人」という一体感を与えるきっかけとなり、反スペイン運動はその後勢いを増すことが語られます。そして、エンディングです。

ざっくり言えば、自分の師匠がおこなっていた事業を引き継いですぐに出鼻をくじかれ、何もしなかったにも関わらず、処刑されたという話です。しかし、その後、反スペイン運動のシンボルになったというから、歴史とは皮肉なものですね。フィリピンの英雄、ホセ・リサールさんも全く同じパターンで、何もしていないのに、処刑され、その後反スペイン運動のシンボルとなっています。

「GomBurZa」の監督、出演者情報

本作の監督をつとめたPepe Dioknoさんは、寡作の監督さんで、作品数は多くないのですが、印象的な作品を撮りますね。もっと作品を見たいのですが、現状では、3作しかネットでは見ることができないようです。本作の主人公ブルゴスを演じたCedrick Juanさんは、日本人好みのイケメンですが、これまで、大きな役で彼を見たことがありません。一方で、彼のお師匠さんを演じたPiolo Pascualさんは、フィリピン芸能界でも有名なイケメンです。こちらが主演作品が多いですね。

「GomBurZa」の作品情報

オリジナルタイトル:GomBurZa

公開年 2023年

監督 Pepe Diokno (A Miracle)(Engkwentro

主なキャスト Cedrick Juan

Dante Rivero

Piolo Pascual(Moro)(牢獄処刑人)(僕のアマンダ)(The Ride)(Manila’s Finest)(もう一度あなたと)(The Kingdom)(Meet, Greet & Bye

視聴可能メディア Netflix(英語字幕)

「GomBurZa」のトレイラー

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