本作は、フィリピンでは珍しい長編アニメ映画です。「フィリピンにアニメ映画なんてあるのか?いったい何本くらいあるの?」という疑問も湧いてくると思いますが、それは非常に難しい問題です。というのは、フィリピンで制作されたアニメ映画のリストは、いろいろありますが、短編アニメや、自主製作映画、映像系専門学校生の卒業制作、Flashで作られたもの、酷いのになるとRPGツクールみたいなので作られたものも含まれています。また、情報がないものがほとんどで、どれが商業的なアニメ映画であるかを知るのが困難です。おそらく、「Adarna: The Mythical Bird」「Urduja」「Dayo」「RPG Metanoia」「サリーを救え!(Saving Sally)」、そして本作「にゃんてこと(Hayop Ka!)」あたりは、商業的アニメ映画に分類していいんじゃないかと思います。その中で、日本のメジャーなプラットフォームで視聴できるのが、本作と「サリーを救え!」の2本になると思います。この2本の監督は同じ人で、Avid Liongoren。本作は彼にとって、2本目の長編アニメ映画になります。どちらもNetflixで見ることができますが、「サリーを救え!」の方は英語字幕しかつけることができないので、日本語字幕を付けることができる本作がお勧めです。本作は、劇場公開されておらず、Netflix向けに作られたもので、18歳以上視聴可能な大人向けアニメとされています。
ストーリー
(ネタバレ)本作の主人公は、メス猫のニンファ。彼女は、デパートの香水売り場で働いています。付き合っている人がいるのですが、学校の用務員として働いており、粗野で、彼女のお金で借りた部屋に居候しています。それでも体の愛称が良いため、そこそこ満足した生活を過ごしていました。最初のシーンから、職場の更衣室でやり始めちゃいます。それ自体は描写されませんが・・・。そんなおり、お金持ちの男が香水売り場にあらわれ、軽くナンパされてついていくことになります。すぐに体の関係になり、今の頼りない男と別れるべきか悩む主人公ですが、浮気がばれて大げんかの末別れることに。しかし、まだ金持ちの男を信じてよいかわからない彼女は、気持ちを整理するために実家に帰ることにします。そこで目撃したのは、キャリアをつけて欲しいと学費を送っていた妹が、学校にいかずに妊娠して子供を育てている姿。「あなたには、私のような仕事しか選べない人になって欲しくないから仕送りしたのに!」と泣きながら飛び出します。結局、金持ちの男のところに舞い戻るのですが、そこで妊娠が発覚。最悪なことに、元カレの子供を妊娠していることがわかります。ヨリを戻せるかはわかりませんが、元カレのところに謝罪しにいったところ、なんと元カレは自分の親友と付き合い始めています。結局、なにもかもを失った彼女は、ひとりで子供を育てていく覚悟を決めます。
典型的な貧しいフィリピン女性の人生ですね。Netflix向けの映画として制作されていますので、フィリピン国内向けというよりも海外向け、フィリピンのことを知ってもらうために作られた映画なんじゃないかと思います。日本を含む、海外の評判はおおむね好意的です。フィリピン社会、特に一般的なフィリピン女性の人生を知るのに良い映画だと思います。
作品情報
オリジナルタイトル:Hayop ka!
公開年 2020年
監督 Avid Liongoren(サリーを救え!)
主なキャスト Angelica Panganiban
Sam Milby
Robin Padilla
視聴可能メディア Netflix(日本語字幕)